寛治としのぶは双子の兄妹。「鯉は滝を登って龍になるんだぞ。お前たちもあやかって出世しろよ」鯉のぼりを上げながら父は言いました。「いつか夢を叶えて、二人で龍になって一緒に空を飛ぼう」二人は指切りをします。 　やがて大人になり、兄は大学へ、しのぶは進学できずに家に取り残されてしまいます。 　三年後、夏休み帰郷した兄は保坂とゆう友人を連れて来ました。しだいに保坂に心を開いていく忍。「三人一緒が良い」と言う寛治。けれども、寛治の結核発病、保坂のシベリア出兵、戦争の時代は三人から夢と命を奪っていくのです。　

　怪人とは、悪。ヒーローとは、正義。 　怪人はヒーローに殺されるもので、ヒーローは怪人を殺すもの。 　正義は必ず勝つ。 　 　…本当に、それが正しいのだろうか。 　ヒーローも、怪人も、どちらもおなじバケモノじゃないか。 　怪人は人間を殺し、ヒーローは怪人を殺し、人間は地球を殺す。 　それの、何が違うというんだ。 　自分たちを脅かす怪人が悪で、自分たちを守るヒーローが正義？ 　そんなの、ただ身勝手な価値観を押し付けてるだけじゃないか 　ヒーローは、守るものが多いから強い？　絆の力？　愛の力？　 　所詮、ただの暴力だよ。 　怪人は悪？　怪人ヒーローの引き立て役？　怪人は殺されて当たり前？ 　そんなの、理不尽じゃないか。 　怪人だって、頑張ってるんだ。怪人にだって、信念がある。目的がある。心が、ある。 　僕は、怪人が好きだ。 　ヒーローが嫌いだ。 　 　僕が、死んでいった怪人たちの思いを継ぐ。 　ヒーローによって打ち砕かれた理想を継承する。 　僕が、俺が、誰にも殺されない怪人に、なる。 　ヒーローが死なない時代は終わりだ。 　殺戮を、始めよう