「私は兵器よ」少女はそう言った。孤独な上に絶望的な撤退戦で死にかけていたハロルドは、少女のその言葉に活路を見出す。少女が持つ能力「ありとあらゆる兵器を壊す」は異常なまでの軍事的価値を持つ。これならば、生き残ることができる。敵軍に捕虜とされる際に二人一組の兵器であると嘘をついて確保されれば生き残れるのだ。そのためにこの少女を徹底的に使い倒す。そう考えていたハロルドだったが、少女の名前が今は亡き妹の名前と一緒であると分かり、複雑な思いに苛まれる。 　嘘を利用して捕虜となった二人は目標を事前に決めていた。それは脱走と第三国への亡命だ。少女の能力を使い、何とか脱走に成功した二人は敵国の都市を練り渡る。金も無ければ、知り合いもいない。生き延びていくにはあまりにも過酷な中で、二人は少しずつ信頼関係を結ぶ。だが、ハロルドからすると少女は妹と同じ名前。他人であると分かってはいても、葛藤は次第に強さを増していくのだった。 　二人の亡命は上手くいくのか、二人の関係はどのように変化していくのか。