春。山の上の高校で、新たな学年が始まる。 事故をきっかけに心を閉ざし、言葉をほとんど発しなくなった高校生・一条渚は、にぎやかなクラスにも、変わらぬ日常にも、心を開けずにいた。 唯一まともに関わる友人・裕太との帰り道、川沿いの橋の上で、渚は“死んだはずの妹”澪の姿を目撃する。 逆光の中、白いワンピースを風に揺らし、どこか儚げに微笑む少女。 そして聞こえてきたのは、かつて澪が眠る前に歌っていたわらべ歌だった——。 姿を追い走った渚が見つけたのは、風に揺れる音と、地面に残された一輪の天竺葵。 それは、消えたはずの妹が残した、再会の“約束”のはじまりだった。

冬の終わりに出会った椿のような人と「私」のお話し。

――知ってるの？私が生まれた時のことを。 何か大きな秘密が、生きてきた世界に帰ろうとするのを引き留めている。 常照寺の住職夫妻の養女、蘭子は進学を機に家を離れる準備をしていたが、心の中では自分の居場所を失うことを恐れていた。 そんな時、蔵の奥で見つけた紅い花の絵を開いた途端、中国時代劇のような見知らぬ世界「天朝国」へ飛ばされてしまう。 蘭子を迎えた巫女、甘氏は確信を持って告げる。「お帰りをお待ちしておりました。間違いありません。あなたは呂家の小姐(おじょうさま)です」と。 現代へ帰るため、蘭子はかつての粛清で唯一生き延びた身内、異世界への道を開く呪力を持つという呂太皇太后に会いに都へ向かう。 しかし、都の延安では、さまざまな思惑が錯綜して蘭子を待ち受けていたのだった…。 ーー族滅されたはずの呂氏の生き残りが、今さらどの面下げて都(ここ)に来た。 ーー太皇太后の弱みになりそうな娘なら、何が何でもこちらで確保しておかねば。丞相には決して渡せぬ。 ーー天の配剤とは、実に面白いね。ここまで役者を揃えてくるとは。やはり彼女は本物かな。 ーーこの子が生き延びれば、もし太皇太后様に万一があったとしても、呂一族の血は絶えることなく未来へ繋がる。それが、結局この天下を救うことになるの。 果たして蘭子は、望み通り現代へ帰ることができるのか。

そこに、ヒトツの『つぼみ』があった。 花が咲いて、人々は魅了するが―――

　異能力大国、パンタジア王国の国民たちは、オーラという特殊なエネルギーを持っており、それを使うことで特殊能力を使うことができる。 　しかし、中にはパンタジア王国の国民でありながら、オーラの力を使えない、虚無の民と呼ばれる人々もいた。聖アウローラ中学に通う中学生、トリスティオ（通称トリー）もその１人だった。 　彼はたびたび、誰も座っていない、窓着をの席を眺めている。 　そこにはかつて、彼にとって大切な人が座っていた……。 　

紅い花の簪を付けた君のその姿。成人式の小話第一弾。

私にとって優しかった君、私が一目惚れした君、 幻想でしかない君、私以外の人に堕ちた君、 儚く愚かな恋と愛を花と共に表したもの――― 雨の降るある日傘を差し出してくれた君、 私は一目惚れをした。しかし、君はこの気持ちに気づく訳が無い。ただの親切心で渡したものに恋心を抱かれるのは気持ち悪かろう。ただでさえ――。 私の気持ちなぞ露知らず別の人に恋へ堕ちた君、 私の気持ちなんて━━━━━━━━━━━━━━。

紅い花が咲いた。地に落ちた花は人の姿をした人形の様。全てが嘘で全てが本物。悲しみも、怒りも、憎しみも、偽物なのに本物で、可笑しな可笑しな物語。

王国の騎士団で安定した仕事を全うしていたベルディ。 しかし、そんなベルディはある計画に巻きこまれてしまう。王国の剣であり、この世界で最も強いと評される竜騎兵団に、突然転属することになってしまったのだ。 そしてベルディは、ある一匹の竜と出会うことになる。 ※この作品は、「カクヨム」にも掲載しています。

数あるつげ義春の作品の中から今回は「海辺の叙景」について書いてみました。 私が後世に残したいと思う名作です。 どうぞよろしくお願いします。

　生きる希望を持たない貴族令嬢は、ある日平民の青年と出会う。運命の出会いが、彼らを悲劇の結末へと誘う。 　作者なりに「悪役令嬢」というものを考えた結果、こうなりました。 　中編です。全６話の予定です。 　全７話で完結しました。 　※バッドエンドです。しかし作者にとってはこれ以上ないハッピーエンドのつもりです。

どうしても諦められず手にしたかった、男の話。

人の心とは常に変動している 1秒先のことなんて誰も想像出来ない

某事務所に所属する、【和】をテーマにした、アイドルグループ『紅花Couca』のメンバー4人。（由良夏莉、篠沢龍祈、赤坂李豆斗、中羽優深）アイドルとして、やっと売れるようになってきた。と。思ったら、優深の様子がおかしい！事情を訊くと、『紅花を辞める』…そんなこと。させたくない。果たして、優深は紅花を辞めずにすむのか… ちょっと…いや。結構、秘密だらけの紅花、4人が贈る、少しおかしなアイドルもの、此処に誕生！

小学6年生の優香と、親友の麻友 もうすぐ引っ越すことになっている優香は、麻友とこの先も一緒に花火を見る約束をするが…

とある少年は彼女と外出を楽しんでいた。 そこに、思わぬアクシデントが。 紅い花が咲き乱れる。 果たして、2人の未来はいかに。

あの日何があったか私は覚えていない。ただいえることはあれは唯の花なんかではなかったということ。紅い花弁をもつそれは私を。

――思い返すと散々な人生だった。 幼馴染を失った達也は、ある日自殺を決意する。しかし、そこに友人がやってきて驚くべき事実を告白する――――。

白い野に咲く一輪の紅い花と 痛いのが嫌いな黄色い熊の話。

大切に育てたのだから、素敵に咲いてほしいじゃない