私、池上は早期退社した中年の日雇い派遣社員である。 彼のかつての同僚は、イケメン声優の秋吉。 彼は深夜アニメの初主演が決まってから、忙しい日々を送っていた。 そんな秋吉と久しぶりに仕事を一緒にすることになる。 それはネット配信の番組作りの手伝いと聞かされていた。 発案者は若葉溶生 80年代に人気のあったミュージシャンで、最近まで 事故の後遺症で、7年間、無気力状態だった。が、最近、自分を取り戻し、 新曲を作成新作アニメの主題歌に決定する。そして、今回の企画を思いつく。 それは、7年前に失踪した妻を100物語で呼び出すと言うものだった。 胡散臭いと考えながらも、仕事を始める池上。 楽な仕事ではあるが、幻覚を見たり、怪しい謎解きをしたり、不可思議な夜が更けてゆく。 　夕方になり、撮影前に、私はアシスタントのロボットに会う。 注意 この物語はSFミステリーです。 結末はとんでも展開予定なので、ご了承ください。 ＊この物語はフィクションです。現実の団体、登場人物とは関係がありません。

旅する椅子がありました。 アンデルセン童話に『空飛ぶトランク』というお話がありますが、このお話では古い椅子が（意志らしきものを持って）活躍？します。 この旅する椅子は海を越え、砂浜に漂着しますが、ふたたび波に運ばれ、いずくとも知れぬ場所にむけて旅立ってゆきます。 或る日のこと、薔薇を育む庭師の青年のもとに旅する椅子が到着することから、この短いお話ははじまります。 この椅子は恋の予感をも連れてくるメッセンジャーでもありました。 幻想的で、ちょっぴり甘くて不思議なお話を読んでみませんか？