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作者:山田 バルス/作品情報/Nコード:N7086KR
連載中 (全12エピソード) |
バレンシア王国の王都から南へ数十リーグ、小さな村「ロサーナ」には、今年も豊かな実りが約束されていた。アントニオはその村で農業を営む青年だった。親を数年前に病で失ってからは、たった一人で麦畑と向き合い、耕し、育ててきた。
でも、ひとりじゃない。アントニオには心に決めた婚約者、村娘のマーガレットがいた。
ところが、その日。黄金色に波打つ麦畑のそばの農道に、高級な馬車が止まった。
降り立ったのは、見たこともないような豪奢な服を着た男と……もうひとり。信じられないことに、マーガレットだった。
「……マーガレット?」
アントニオが呼びかけると、彼女は軽く鼻を鳴らして笑った。
「アン。わたし、結婚やめる」
「……え?」
「婚約、破棄するわ。ごめんね。でも、もう決めたの。わたし、サラゴサ男爵様と王都で暮らすの。あんな畑の土なんて、もう触りたくない」
耳を疑った。何を言ってるんだ、マーガレット。
「……マーガレット、そいつに騙されてるんだ。男爵が、村の娘と本気で付き合うわけない。王都に行ったって、どうせすぐ捨てられる。そんなの……遊びに決まってる!」
必死だった。怒りというより、彼女を守りたい一心だった。
だが、その時。
「貴様ぁ……!」
男爵が、鷹の羽をあしらった帽子を払って、アントニオを睨みつけた。その目には、蔑みと怒りがあった。
「このサラゴサ男爵の、真実の愛を……愚弄したな、平民が!」
男爵の号令で、背後に控えていた従者たちが動いた。ゴツい腕を持った男が二人、麦畑にズカズカと踏み入り、苗を蹴り倒していく。たわわに実り始めた麦の穂が、無惨に踏みつけられる。
「やめろ……やめてくれ!!」
アントニオが走り寄るが、男爵の手下が拳を振るう。
ゴッ。
強烈な衝撃が頬に走り、視界がぐらりと揺れた。そのまま地面に倒れ込み、泥の匂いが鼻を突いた。
「平民のくせに、俺様に説教だと? 身の程を知れ、田舎者が」
男爵の靴が、アントニオの顔すれすれで地を踏み鳴らした。
「行くぞ、マーガレット。こんな泥まみれの世界と関わっては、おまえの美しさが穢れる」
「うん、ありがとう、男爵様。……もう、こんな村に未練なんてないから」
ふたりは、夕陽に染まる麦畑を背に、馬車へと戻っていく。破壊された麦の中で、アントニオは地面にうずくまったまま、目を閉じるしかなかった。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: R15 ほのぼの 男主人公 西洋 中世 職業もの ハーレム チート 内政 魔法 日常 ハッピーエンド グルメ 青春 農業 妖精の愛し子 最終更新日:2025/07/12 20:10 読了時間:約45分(22,329文字) 週別ユニークユーザ: 179人 レビュー数: 0件 総合ポイント: 34 pt ブックマーク: 7件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 20 pt |
作者:秋暁秋季/作品情報/Nコード:N8567KH
短編 |
私は結構な子供嫌いである。
関わったら最後、どう足掻いても不幸な結末しか見えない。だから近寄って欲しくない。遠くへ行って欲しい。
子供好きな人って、言葉だけじゃないんだよね。ちょっとした行動でも分かるんだよね。
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
口先だけでは何とでも。
でも行動を見ていると、何となく分かるんですよ。
子供嫌いな人って、子供に近寄らないんですよ。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕キーワード: 何でも許せる方向け 子供嫌い 羨ましい すり減った社会人 動物番組 コメント 近寄るな 恐怖心 触りたくない 頭を撫でる 本心から好き 優しい 一種の反動 最終更新日:2025/04/06 12:19 読了時間:約3分(1,005文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 56 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 6 人 評価ポイント: 56 pt |
作者:由紀乃/作品情報/Nコード:N0204IX
連載中 (全4エピソード) |
私はいつもと変わらない日々を過ごしていたはずだった。
平凡に一人暮らし。それが私の幸せな生活だ。
なのに、ここ最近変なことが起きるようになった。
例えば、目の前にどこからともなく植木鉢が落ちてきり、一昨日なんて虫の死骸が玄関前に落ちていたり等々。
今なんて帰ってきて、郵便ポストを見ようとしたら長く黒い髪の毛の束が詰め込まれている。
こういう時はきゃあと悲鳴を上げるとか誰がこんなことをっと怒鳴りそうになるとかになるはずなのに普通に片づけ大変だなとしか思えないのだ。
とはいえ、郵便ポストの中身を確認しないといけないわけであるが髪の束が邪魔過ぎて取れない。これを取り除かないといけないのだが触りたくない。
生理的にも手袋を用意すべきかとそれを放置して部屋から取って来ようとする私に声が掛けられる。
「そこのお姉さんっ。何かお困りのようですねぇ」
そこに立っていたのは女子高生二人組。
「それに触らない方がいいですよ?だってそれ、呪いですから」
ジャンル:ホラー〔文芸〕キーワード: 残酷な描写あり ギャグ シリアス ダーク 女主人公 現代 ミステリー 最終更新日:2024/09/22 16:10 読了時間:約14分(6,983文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:秋暁秋季/作品情報/Nコード:N9583JC
短編 |
少女漫画を読む彼女に問い掛ける。
『こういうのが好きなの?』
壁ドンされているその場面を見ながら問い掛けると、バッサリと答えが帰ってきた。
『アンタの方がずっと良い男だわ』
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
アンチテーゼ 言えば聞こえはいいですが、
少女漫画に喧嘩を売ってる話です。
なんでも許せる方向けです。
ジャンル:現実世界〔恋愛〕キーワード: なんでも許せる方向け 何でも読む 壁ドンなう こういう子がタイプ? アンタの方が ずっと良い男 ストレート 触りたくない 触られたくない 大惨事の防止 お前は三流 爽やかさに頼るな 色気 最終更新日:2024/06/06 18:10 読了時間:約2分(777文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:茅野榛人/作品情報/Nコード:N4631IJ
短編 |
十八歳の男子高校生の主人公は、年が同じの友達である女子高校生『D』が、長期間学校を休んでいる事が気になっていた。SNSも音信不通で、全く連絡が取れない日々が続く中、ある日Dが突然主人公の家を訪ねて来たのだ。しかしDは、「今……ポケットとかに……お金入れてたりとか……してない?」と言う、謎の質問をし、質問をした理由は、「お金に触りたくないから……」と言う事らしい。果たしてDの身に何があったのであろうか……。
ジャンル:ローファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: R15 残酷な描写あり 伝奇 ミステリー 最終更新日:2023/08/19 19:00 読了時間:約5分(2,462文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:鞠目/作品情報/Nコード:N3689HV
短編 |
家の前にごみが落ちていたことってありませんか?
ある日、仕事から帰ると私の家の前に白いビニールテープが落ちていました。
雨でテープが濡れていたので触りたくないと思い無視したんですが、その日からでした。視界の端に何かが見えるようになったのは。
ジャンル:ホラー〔文芸〕キーワード: 怪談 雨の日 梅雨 眼鏡の端 裸眼の景色 体験談 最終更新日:2022/09/11 09:26 読了時間:約7分(3,336文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 4件 総合ポイント: 376 pt ブックマーク: 18件 評価人数: 35 人 評価ポイント: 340 pt |
作者:小梅/作品情報/Nコード:N4188FF
連載中 (全34エピソード) |
ここが乙女ゲームの世界だと思い出したのは5歳の時兄の名前を聞いた時だった。
前世でとてもはまったゲームで攻略対象者の妹として転生していたのだ。
兄は攻略対象者だが自分はモブ。しかし、それはフェルーナにとってとても嬉しいことだった。
なぜなら、生でヒロインの恋が見えるから。
しかし、その夢は6歳の時にできた婚約者のせいで壊れた。
モブの婚約者はモブだと思っていたのにその婚約者、攻略対象者並みに目立つんです。
「その手袋はなんですか?」
「汚いから素手で触りたくない」
「その料理どうするんですか?」
「洗うんだよ」
「その仮面はなんですか?」
「………………」
どうやら私の婚約者は綺麗好きのようです。
いや、それはいいのですが貴方とても目立ってますよ!!
私達はモブなんですからもっと影を薄くしましょう!!
まずはその仮面外させます!
ジャンル:異世界〔恋愛〕キーワード: R15 残酷な描写あり 異世界転生 乙女ゲーム モブ 攻略対象者ではない 綺麗好き 次第に溺愛 仮面 ハッピーエンド 最終更新日:2019/06/07 00:37 読了時間:約151分(75,323文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 2,467 pt ブックマーク: 912件 評価人数: 75 人 評価ポイント: 643 pt |
作者:Lotus/作品情報/Nコード:N7976CO
連載中 (全2エピソード) |
ゆらゆらと、カップから沸き上がる湯気が揺れる。
「…にっが。」
カップに口をつけていた人物はポツリと零した。
音を立てながら椅子を引き、立ち上がると、入れ忘れていたミルクと砂糖を取りにキッチンへ向かう。
ブラックコーヒーは苦手で、いつもミルクと砂糖は絶対に欠かさないのに。
少し自嘲しながら砂糖の瓶とミルクのパックを持って机に戻り、その2つを置くと椅子に腰掛けた。
少し軋んだ、乾いたような音に、普段は気にしないくせに今はわずかに不愉快そうに眉を寄せた。
まるで覇気のない表情のその人物は、するりと目元を触り、小さく溜息をついた。
少し腫れている目元を優しく撫でたり強く押したり。
元に戻そうと努力してみるが、腫れは冷やさないことには中々戻らないと分かっている。
それでも、この寒さだ。
布団から出ても床に足をつけると、あまりもの冷たさに布団に引っ込んでしまうというのに、冷やすためとはいえ冷たいものなんて触りたくない。
全てが億劫になり、気が滅入る。
でも、たぶんきっと、理由は寒さだけじゃない。
人物は目元を触っていた手を離し、今度は大きく溜息を吐いた。
カップに口をつける。
「…にがい。」
机の上に置いただけで、砂糖とミルクを入れていないことを思い出す。
カップからは、もう、湯気は出ていなかった。
ジャンル:純文学〔文芸〕キーワード: 恋愛 最終更新日:2018/02/06 19:37 読了時間:約5分(2,335文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 2 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 2 pt |
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