作品情報
短編
2,603文字
ホラー〔文芸〕
最終更新日:2024/07/04 19:22
公爵令嬢ナタリー・ブランケットには、とんでもない噂が流れていた。
「ナタリー嬢は、妹のハーモニーを虐めているらしい」
「ナタリー嬢は、男爵令嬢の頬を叩いたらしい」
「ナタリー嬢は、子供の粗相にも口汚く罵るらしい」
「ナタリー嬢は、義母の宝石を奪ったらしい。
後妻の癖に生意気だと言って」
「ナタリー嬢は、夜に目が赤く光るらしい。
魔女の血の先祖帰りらしい」
「ナタリー嬢は、時々闇夜に忍び込んで、女を殺して血を啜るらしい」
「ナタリー嬢は、怒ると爪が伸びて、狼も屠るらしい」
「ナタリー嬢は、ナタリー嬢は、ナタリー嬢は………」
繰り返される根も葉もない噂。
主導するのは義母の実家の侯爵家。
全ては愛する娘ハーモニーを、王太子妃とする為の策略。
噂は噂を呼び、最早人間ではないものまで混在していた。
ナタリーの継母と異母妹ハーモニーがほくそ笑む一方で、ナタリーは精神的に追い詰められていく。
(R7、4月~アルファポリスさんにも載せています)