小説投稿サイトに溢れかえっている異世界モノ。その中でもこの作品は異彩を放っている。
主人公が飛ばされる異世界は、ありがちな「中世ヨーロッパ風」の社会ではない。
そこは全体主義と憎悪が世界を覆い、信じられないような暴虐が猖獗を極めている恐ろしい世界。
だが、さらに恐ろしいことは、作中で表現される悲劇はいまでも現実世界で本当に繰り広げられて来たこの世の真実の姿なのだ。
だがこの小説は絶望だけを読者に与える加虐性を持ち合わせてはいない。
暴力溢れる世界で、主人公とヒロインの間に築き上げられる絆は、暗中の光明のように尊く美しい。
あなたがこの作品を読めば、著者の歴史的知見によって作り上げられた異世界と、そこで生きる登場人物たちのひたむきさに心打たれると思う。
間違いありません。おすすめです。ぜひ読んで下さい。