この作品を絵で表すなら、最初に目に映るのは『血』であろう。少年漫画のような「熱血」ではない。憎悪、憧憬、諦観、屈辱、悔恨、怨嗟、絶望。ありとあらゆる感情が入り乱れ自分でも分からぬドロドロとした奔流だ。
主人公ルーギスは凡人である。人生をやり直す機会を得たが、才能に恵まれた英雄に生まれ変わらず、自分の人生を再び歩む。今度は諦めず足掻き続けながら。
合理性など知らぬと動き続ける彼らの感情は実に生々しく、魅力的だ。
ああ、これが人間なのだろう。
物語の駒でも、主人公の飾りでもなく、自分の意志で動く熱さと重さを感じる。
悪も正義も関係なく、ただ戦乱の嵐の中で彼が歴史に何を成したと刻まれるのか。
そして元の歴史の英雄とどんな結末を迎えるのか。ただ目が離せない。
余談だが、最近主人公とヒロイン達が「生肉とそれを狙う肉食獣」に見えてきた。
別の意味で目が離せない。