銀行員と歌姫だなんて、なんてリアル感のないカップリングなのだと思うかもしれない。
しかし、本作品に限っては違う。
銀行員の佐伯さんと、歌姫であるminaは、確かに血の通った人間で、それぞれが抱える過去や思いが大変立体的な形で読者に訴えかけてくる。
そして、春風のようなナチュラルさで2人の関わりは深まっていく。
物語の語り口もとても読みやすく、一気読み間違いなし。
脇役キャラクターも味があるので、恋愛小説が苦手という方も、男女問わずに楽しめるのではないだろうか。
住む世界が違う2人が、まるで運命かのようにどんどん引き寄せられていくのを是非とも見守ってほしい。
立ち塞がる困難も、2人はそれぞれの持ち味を活かして支え合い、乗り越えていく様は本当にほっこりするし、キュンっとさせられる。
お仕事モノとしても優秀だ。