あの『星の降った日』から十一年、我々人類は束の間の平穏な日々を過ごしていた。　――そのはずだった。 　ホテル『Heaven's ark』は歴史と文化に彩られた神島にある〝世界最高峰の施設〟である。 　小学校生活最大のイベント〝修学旅行〟の宿泊先で起きた凶悪な殺人事件は、オレと楓の人生を巨大地震のように大きく揺さぶった。 　悩み傷付き死を望む楓と、なにも知らないバカなオレは、山頂の展望台〝恋人たちの聖地〟でかりそめの恋人同士になった。そして、殺人事件の容疑者が残したカードキーを頼りにたどり着いたホテルで、オレたちは人類存亡の危機に巻き込まれ、そして立ち向かう。 　オレと楓に託された重大な使命とは次世代に続く繁殖行為だった。 　地下五千メールという絶望の中でオレたちが見つけたもの、それは希望の〝始まり〟だった。 　オレたちは生きて還れるんだろうか。

アスティア連邦の平穏を守るのは、何も軍隊や警察のみでは無い 軍は国内での行動に制限が有り国外の驚異には動きにくい、警察はテロリストとやり合うには弱い上、そもそも国外に出れない そこで「彼ら」の出番である 彼らは手綱に縛られず、しかし忠実な猟犬だ 彼らの牙は、法も国境もそして次元も関係なく 確実に、獲物の喉元に食らいつく 当該報告書群の閲覧にはクラス▇カードキーが必要となります ━━━カードキーを確認 認証コードを入力してください ━━━認証しました 本報告書群は現大統領の名の下に、一切の口外を禁じます あなたは只今より、当局の監視下へと置かれました ━━━良き忠誠を ※「我らが強き連邦を」外伝作品となります

　カードキーを抜いて、ドアの前にへたり込んだ。 「あ、開かない……」 　鍵を失くして家に入れない、それくらい誰しも一度はやらかしたことがあること。 　でも、鍵はあるのに入れないなんて。

資産家の九竜久宗六十歳が何者かに滅多刺しで殺された。現場はある会社の旧事務所。入室する為に必要なカードキーを持つ三人が容疑者として浮上。その内アリバイが曖昧な女性も三郷を、障害者で特殊能力を持つ強面な県警刑事課の松ヶ根とチャラキャラを演じる所轄刑事の吉良が事情聴取を行う。三郷は五十一歳だがアラサーに見紛う異形の主。さらに訳ありの才女で言葉巧みに何かを隠す彼女に吉良達は翻弄される。密室とも呼ぶべき場所で殺されたこと等から捜査は難航。多額の遺産を相続する人物達やカードキーを持つ人物による共犯が疑われる。やがて次期社長に就任した五十八歳の敏子夫人が海外から戻らないまま、久宗の葬儀が行われた。そうして徐々に九竜家における秘密が明らかになり、松ヶ根達は真実に辿り着く。だがその結末は意外なものだった。

伊藤明は普通の高等学校に通う女子生徒だった。彼女の持つカードキーを狙って異形の者たちが追い詰める。敵か味方か、異形殺しによって一時的な平穏は訪れるが・・。

擬音語（オノマトペ）シリーズ１２こめです。

私は恵比寿有希。クリスマスイヴに、恋人の渋谷瑛太とホテルのレストランで食事をしている。