「ある組織が原発テロを誘発しようとしている」そんなデタラメの陰謀論を、ネット上で広めた僕のところに、その組織の一員だという女がやって来たのだが……

　震災でメルトダウンした原子力発電所の収束のため駆り出された自衛隊特殊部隊隊員が被曝した。復帰しない部下の動向を探った上官は、秘密裏に人体実験として生かされている事実を知り、密かに政府が練り上げていた「潜在的核抑止力」の真相に辿り着く。それは、他国に侵略された時の最後の手段として、国にある５０基あまりの原発を意図的に全て暴発をさせ、世界中の人々を核汚染へ道連れにする焦土作戦であった。 　政府計画の消滅と陰謀の暴露の為、近接戦闘のスペシャリストである上官は再稼働された原子力発電所を単独で侵入し、冷却機関に爆弾を仕掛け、占拠する。秘密特殊部隊として海外紛争地域で実戦を潜り抜けて来た上官は、警察機構のテロ対策部隊の精鋭を、ことごとく退け、やがて嗅ぎつけたマスコミを呼び寄せる。 　政府は、暴露される前に処分しようと、上官と同様の戦果能力を持つ、秘密部隊の同僚である戦略と狙撃のスペシャリスト二人に排除を命じる。テロリストとなったかつての戦友に、命令を受けた二人が対峙する。