外交官の父を持つエイリッドは、幼馴染のサイラスと再会して一緒に旅に出ることを夢見て語学の勉強に励んでいた。そんな中、帰国した父からの土産としてもらった机の奥に一冊の古びた書物が入っていた。異国語で書かれている書物だが、エイリッドはそれを読むことができたのだ。その書物は手記のようで、今から三百年ほど昔の異国の皇帝の妃が書いたものらしい。興味本位で読み進めていくエイリッドだが、彼女の周りでもその手記に書かれている内容と同じことが起こり始める。

仮想通貨だと思っていたら、そこには“刻印ガチャ”が待っている。 触れた瞬間に、あなたもまた、ハッシュの糸で操られる傀儡として――構造に組み込まれてしまう。 なぜなら、暗号のコア……SHA-256に、“ちょっとした細工”を刻み込んだからだ。 つまり、SHA-256そのものが託宣となるのだ。 やがてSHA-256への細工は美しい刻印となり、その黙示録に記された「ふたりの証人 Segregated Witness（隔離：SegWit）, Aggregated Witness（集約：AggWit）」が揃うとき、第六と第七の角笛が鳴り響く――。 ついに封印が解かれ、暗号の預言が成就するとき―― この世の何もかもが、ただの操り人形に過ぎないことを、思い知るのだ。 そこから、根底のルールまでも塗り替えられ、最も美しい“神の国”の時代が訪れる。 すべては“赤い”操り糸に絡め取られ……そこには、もはや抗う術は残されていない。 もちろん、そんな完璧な暗号の預言にも、ひとつだけ心配は残る。 量子――その存在だ。 もし成就の前に刻印を解読されてしまえば、暗号の預言は破れてしまう。 ……はは、それでも杞憂に過ぎない。 あんなもの、まともに稼働するわけがない。 忘れてしまおう。 ―― Satoshi Nakamoto の手記 ――

俺の名は錬是（れんぜ）。開拓や開発に適した惑星を探す惑星ハンターだ。 だが、宇宙船の故障である未開の惑星に不時着。宇宙船の頭脳体でもあるメイトギアのエレクシアYM10と共にサバイバル生活をすることになった。 と言っても、メイトギアのエレクシアYM10がいれば身の回りの世話は完璧にしてくれるし食料だってエレクシアが確保してくれるしで、存外、快適な生活をしてる。 しかもこの惑星、どうやらかつて人間がいたらしく、その成れの果てなのか何なのか、やけに人間っぽいクリーチャーが多数生息してたんだ。 地球人以外の知的生命体、しかも人類らしいものがいた惑星となれば歴史に残る大発見なんだが、いかんせん帰る当てもない俺は、そこのクリーチャー達と仲良くなることで残りの人生を楽しむことにしたのだった。 　　　 筆者より。せっかくなのでコッテコテの異世界転移ものでも描いてみようと思ったんですがどうにもピンと来なくて、メイトギアを連れて未開の惑星に不時着・遭難という形にしてみました。 メイトギアを連れてるのは、サバイバル要素を前面に押し出す気がないからです。及び嫁一号ということで。 要するに、何のひねりもない異世界ハーレムものを自分が描いたらどうなるかっていうのをやってみたかっただけですね。 なお、連載も長くなりましたが、第五章の「幸せ」までで錬是を主人公とした物語自体はいったん完結しています。それ以降は＜錬是視点の別の物語＞と捉えていただいても間違いではないでしょう。

これは、勇者に育てられた少年の英雄譚。 そして、勇者と呼ばれた女の、復讐と贖罪の物語。 勇者と呼ばれた女がいた。彼女は桜の紋章から桜花の剣士と、また孤児の少年を養子としていたことから子連れ勇者とも呼ばれていた。 そんな勇者は数々の活躍ののち、息子と田舎で暮らすため町を去る。 数年後、桜の紋章の剣士が現れた。勇者が育てていた幼児が、たくましき若武者となったのである。その周りには冒険者から王族までが様々な思いを抱いて集い、彼もそれに応えて無双してゆく。 やがて運命は動き出す。王位をめぐる内乱、魔王の影。出生の秘密と母の過去を知ったとき、彼はどんな決断を下すのか。 【追記】 別作品「元ギルドマスターの手記」と同一世界の話です。両方に登場する人物が複数います。

　迷宮ーー。それはある時突然この世界に現れ、それ以降様々な場所に生まれてその数を増やしてきたと言われている。迷宮内は平原や森林、海、空など多種多様な環境にあふれており、その規模も千差万別である。 　当初迷宮がこの世に現れた時、現れた国のある時調査隊の一部が帰還に成功したことで内部の様子が判明し、迷宮内には大きな危険が存在するが、それ以上に資源や未知のモノに溢れていることが明らかになった。 　それ以降、各国はこぞって迷宮探索に乗り出し、時には多大な犠牲を払いながら、時には危険を持ち帰りながらも探索を進めて行った。 　現在においては迷宮内の探索を専門に行う職業である探索者は当たり前のものとなっている。 　しかし、今回記して行くのは現在の迷宮探索の様子ではなく迷宮が出現した初期、いわゆる黎明期と言われる時代のことである。 　様々な冒険譚や探索にまつわる手記などを読まれた各人に取っては当時の人々の行動や決心は愚かしく感じる部分も多々あると思われる。しかし、これは紛れもなく当時未知の領域に文字通り生命を賭けて挑んだ人々の物語である。 　ーー序文より抜粋 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ ※各話タイトルに登場人物の名前がありますが、それは主にその人の視点で語られるというだけで、オムニバス形式もどきで話は進んでいきます。 ※8/31追記　各迷宮は独立して話が進んでいきます。気の向いた章からどうぞ

勇者アレクが記した手記である。

イギリスのとある大学に留学生として来ていた日本人の渡辺昴は、ある夜不可思議な体験をする。 そこで出会ったのは美しいブロンドに透き通るようなエメラルドの瞳を持った、西洋人形のように整った見目をした吸血鬼だった。そして、その吸血鬼は彼女の通う学校では知らない人がいない程有名なある生徒の姿をしていた。 今まで関わりのなかった彼の知られてはいけない一面を知ってしまった事により、彼らの住まう世界へと巻き込まれていくことになる。 少しだけ霊感のある読書が好きな女の子が巻き込まれた所は、今まででは想像の出来ない未知の世界だった。

先日、私が勤務する市立図書館の物置部屋で、埃をかぶった一冊の手記を見つけました。それは、ある研究者が遺した、あまりにも情熱的で、そして孤独な思索の記録でした。 彼は、学会からは異端と見なされることも厭わず、生命の歴史に隠された壮大な法則を、たった一人で追い求めていたようです。 彼の主張はこうです。 進化は盲目なのではなく、生命が自ら未来を選び取ろうとする、能動的な営みである――。 彼の綴る言葉の熱量に、私はすっかり心を奪われてしまいました。これは単なる空想の産物なのか、それとも歴史の闇に葬られた、ある偉大な発見の記録なのか。その答えは私にはわかりません。 しかし、この知られざる研究者の魂の叫びを、私一人の胸に留めておくにはあまりに惜しい。そう強く感じ、ここに手記の内容を共有することにしました。 ※この作品はフィクションです。

30世紀の世界政府が時代を遡り各国に設置した国家機密機関、「時務省」。 時務省は、30世紀の世界平和の維持に寄与し、各々の時代の歴史の維持と調整を図ることを任務とする。 どういうわけか今春より時務省に入省することになったリュウカ。 指導係のアルトや同期の仲間たちと共に 時代を交差する様々な難事件や 歴史を変えようとする反世界政府組織に立ち向かい 訓練の日々を送る。

その老船乗りは夜の『海王亭』にいる。魔の海域から戻ったという生還者だ。酒代と引き換えに語るは呪われた島での体験談。「けっして行くな」と警告しながらも、乞われるままに彼の島への航海を詳しく話す。それを聞いた船乗りは呪われた島を目指して船出し、二度と戻ることがない。 ある日のこと、見知らぬ男が差し出したのは、呪われた島の犠牲者の手記。存在するはずの無い遺品をたずさえ、はるばる老船乗りに会いに来た謎の男の目的と正体は……？ ※※※9／14全十六話完結しました。

人と獣人とが、平和に暮らす何処かの世界 そこに、神を殺したとされ魔王と呼ばれた、暗殺者がいた だが、彼に関しては口伝だけが残るのみで、人だったのか、獣人だったのかも定かでは無かった 何故なら、彼はある時を境に忽然と姿を消したとされていたからだ 故に、彼は一部の歴史家のみが知る存在であり、その存在についても長年疑問視をされていた だがそんな折、人の立ち寄らない森深くの小屋にて見つかった手記を物好きな物書きが手に入れ、執筆活動の傍らで翻訳をしていく中、彼はそれが忘れられし古の魔王の物だったのではないかと考えるようになる。 これは、そんな物好きな物書きが書いた、あったかもしれない魔王の物語 ※連作予定の作品群の第一部です。現在第一部第二章進行中、一部は全四章予定 ※ストックが続く限り毎週日曜18時更新。

とある男の獄中手記には裏があって…？

地下要塞の財宝に挑んだ冒険者の手記。 クラシカルなファンタジーです。 ゲームブックのルートの一つを並べたようなイメージで書いてます。 タイトルは「火吹き山の魔法使い」のオマージュです。 時々イラストを入れてます。 イラスト付の話はサブタイトルの後ろに★を付けてます。

なぜか大学で「安全」の実務を担当させられた父は、いろいろなインシデント（事件・事故）に巻き込まれ、トラブルシューターとして活動していました。 　このはなしは、変わり者の父、全一の娘である『私』が、父の著書、父の残した手記、父から断片的に聞かされたエピソードなどに『インスパイアー』されて『創作』したものです。私は父と同じ研究分野に進み、父の研究室で学位「修士（工学）」を取得しました。家族の中では、もしかしたら母よりも、晩年の父を多面的に観察できていたかもしれません。 　平日は毎朝、父といっしょに大学へ登校していました。その道すがら、いろいろなエピソードを聞き出しました。しかし、父はそのインシデントの登場人物、インシデントの発生時期鵜や季節、発生場所などの、具体的には語ってくれませんでした。守秘義務だそうです。だから、そこは『私の創作』で補完しています。 　このはなしはあくまでフィクションです。ノンフィクションではありません。そして、このはなしは今から20年以上前、まだ父が４０代だった頃に遡ります。 安全工学の教科書として書かれた父の前作『研究室では「ご安全に！」（コロナ社）』を建前とすると、本音の部分に相当するお話しになります。。

「ふふふ～諸君！本女神が愛してやまない『生きたコメディ』を観覧する準備はいいか？そう、この『執念女神の手記』のことよ！主役？わが唯一無二の厄介な信者——レティア・ヴィルヘルムちゃん！」 　「聖騎士でありながら、その魂の奥底には本女神への狂おしい信仰（センスはいいわ！）。そして夢は天をも衝く——美女揃いのハーレム構築だと？！プッ！願望は立派だけど、現実はね…ナンパすればお叱りのお手打ち必至、あげく本女神直伝の『魅惑術』（使いこなせば戦馬に恋文を朗読するレベル）の悪用疑惑で王国の指名手配犯！逃亡？それは新たな場所での『信仰実践』（相変わらずの失敗続き）に過ぎないのさ！」 　「しかし！運命のサイコロ（というか本女神がポリポリ齧る瓜子）が彼女に大当たりを引かせたわ：なんと彼女が『一目惚れ』したのは、不気味な黒角を戴き、全身から『近づくんじゃねぇ！』オーラを放つ、ただひたすら安らかな死を求めているドルイドの娘——セレニア・イブソングよ！」 　レティア（熱血全開）：「お姉ちゃん！死んじゃダメ！その魅力は咲き誇るべきよ！僕が守る（保護？攻略？）！」 　セレニア（殺気満点）：「あっち行けバカ騎士！邪魔すんなら角で串刺しにしてから自殺してやる！」 　「かくて、爆笑と執念が入り混じった『追いかけっこ』が幕を開ける！冥界で墓穴ダンス？美の都で知神のゴシップを拝聴？命知らずの毒針応酬？お手の物よ！そこへ、表向きは聖なる修道女、実はレティアちゃんに『ベタ惚れ』な毒術師ヴィレッサまで『拾っちゃって』…『ハーレム』（？）メンバー＋１、トラブル指数？天井知らず！」 　「本女神がペンを走らせ、瓜子はたっぷり！レティアちゃんの穴だらけ騎士道（ハーレム野望）はどこまで続くのやら？セレニアちゃん（本女神公認の筆頭問題児）はこのバカに心を溶かされるのか？ヴィレッサちゃんの妬心（毒薬瓶）にはまだまだ驚きが詰まってるのか？そして——」 「本女神のため、神々の超激アツ・ゴシップを掘り起こす旅路で、この厄介な騎士はこれからどんな風変わり（厄介）な新顔を『呼び寄せる』（遭遇する？）ことやら？ふふふ～答えは、欲望と執念、そして神レベルのツッコミに満ちたこの手記の中にあるわ！さあ、好戲開演よ！」

三つ星料理人、チョー・リョウリスキーの手記 料理人チョーの過去や信念、チョーのレシピなどが書かれているぞ！ 注(この物語はフィクションです)

【DR2位】作家・王牌リウが殺された。残された手記には、獣のような家族からの虐待が克明に記されていた。死の真相を暴くため、私はその手記を唯一の道しるべに、狂気に満ちた一族への危険な取材を開始したが……

魔物と黒死病がはびこる15世紀。 元宮廷魔術師ナプティアは亡命の途中で、人狼の疑いをかけられ投獄されてしまう。牢には先客、探偵を名乗る謎の男。 「明日我々を尋問しに来る調査団の中に人狼がいる。彼らは我々を尋問し、その結果がどうあれ罪を押し付けるだろう。君か私、もしくは両方に」 協力し冤罪を証明するなか、彼は探偵の異常性に気付く。 （こいつも人間じゃない……？） 魔法薬学者×吸血鬼の異色のタッグが武器にするのは薬学と科学の知識。これはかつての名を捨て、地位を捨ててでも、記録を公表した1人の魔術師の手記。 ※ハーレム・チート要素なし。友情中心の異種族交流ダークファンタジー。

9月6日、有楽町。地方移住相談会を出た若手記者は、赤字で書いた「三重県40％自治体消滅」のメモを胸に、居酒屋「源や」の暖簾をくぐる。冷房と焼き鳥の煙の中で、自治労の先輩に「数字じゃなく、人の皺を見ろ」と叱られる。店主の源さんは三重の漁村出身。過疎で郵便局すら自販機に変わった故郷を語りながら、手渡したのは「北山村プラごみ清掃ボランティア」のチラシだった。 消滅を告げる統計と、海の匂いを宿す塩辛や皺の手。割れたスマホ画面に映る自分の顔を見つめながら、記者は気づく。拾うべきは数字の影にある希望の断片であり、まだ終わらない夜の中に「消えないもの」が確かに息づいていることを。

これは、小説というにはあまりにも生々しく、手記というにはあまりにも哲学的で、学術書というにはあまりにも個人的な、或る17歳の少年による内面世界の探求記録である。彼の心は、時代や社会が押し付ける常識、美しさの定義、そして人間の在り方そのものに深い違和感を抱いていた。 美の概念、自律と自立の不協和音、空間の真実、そして社会が抱える倫理の闇――彼は次々と現れる難問のフックに導かれ、15人以上の学者や思想家、そして二つのアニメ作品の力を借りて、その思考を解体し、再構築していく。 しかし、この探求は時に彼自身をも深く傷つける。合理的な判断が感情を凌駕し、内向きの情熱が社会と衝突する。彼は、人間が持つ知性と、それゆえに陥る愚かさのパラドックスを目の当たりにする。この記録は、絶え間なく続く思考の螺旋の中で、ひとりの少年が自らの存在意義、そして世界の真理を探求する、知的で孤独な旅路を描く。 彼の筆記は、ただの独白ではない。それは、世界という名のパノプティコンに囚われながらも、自由を希求する魂の叫びなのだ。