三年前、突如として世界中で超常現象を行使できる人間、所謂「超能力者」というものが現れた。それは無限の可能性を秘めており、多くの人を救うことのできるモノであり、また多くの人を害することのできるモノでもあった。そのような能力者が急増したことにより、世界は混乱に陥った。そんな中、いち早く能力の有用性に気づいたある男が、能力者達を集めある組織を作り出した。その名を「世界統一機構」といい、混乱している世界を一つにまとめ創り替えることを目的として掲げた。その首魁たる男は自らを「魔王」ゼロ・ホワイトと名乗り、圧倒的武力のもとに世界侵略を開始した。各国はこの事態に対応しきれず、世界の七割を侵略されるのをよしとしてしまった。このままでは世界の危機だと思い、残された人々は魔王に対抗にする、魔王を倒す人材を育成する「勇者育成システム」を作り上げた。このシステムによって選ばれた者達は、然るべき訓練を受けた後、「世界統一機構」との戦いの最前線に送り出される。それでなんとか、戦線は停滞した。そして現在、最強と目される五人からなる精鋭部隊が生まれた。そのリーダーたる夜桜　輝夜は、強く優しくまさに勇者の名に相応しい少女だった。これはそんな彼女と、彼女の仲間達が彩る世界を救う物語――――――ではなく、好きな女の子に笑顔でいて欲しい一心で、世界を巻き込んだマッチポンプをする初恋を拗らせた少年の奮闘記である。

懐かしい夢を見た。 彼とまだ、仲がよかった頃の夢だ。 没落貴族の令嬢ジュヌフィーユは、かつての婚約者エリクと仲直りをしたかった。しかし、意を決して参加した晩餐会でのエリクの態度は相変わら冷たく、すげなくて。「許して欲しい？だったら──」向けられた冷笑の後、エリクが出した条件はジュヌフィーユの未来そのものだった。

神の子として生まれたレオナルドは、次期女王のアリシアと出会う。 幼いながらも、想いを通わせるふたり。 しかし、幸せな日は続かなかった。 「あなたは、私の夫になるの。だから、神の子としての役割は捨てて貰うわ」 そうアリシアに告げられ、裏切られたと思ったレオナルドは彼女を深く憎んだ。 しかし、それはアリシアがレオナルドを守るためにしたことだった。そうとも知らない彼はアリシアに冷たく接するようになる。 そんなレオナルドの態度に傷つきながらも、健気に彼を愛するアリシア。 「あなたに憎まれたとしても、私は」 レオナルドが生きていてくれればいい。