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作者:シンノスケ123/作品情報/Nコード:N6720KY
連載中 (全19エピソード) |
町外れにある廃館に訪れた高校生の男女4人。
度胸試しとして中に侵入し、呪われた血文字や同じ連なる部屋に驚きながらも、談笑しながら探索する。
しかし大きな物音を聞き、今来た廊下を振り返ると紫色の眼をした何かが待ち受けていた。
散り散りになる4人、そして来た道は通行不可になり、窓は不思議な力で補強されポールハンガーで叩き割ることもできない。
無限に続く支配領域で彼らはどんな結末を迎えるのか!?
物静かな女子高生「アイ」が持ち前の対応力と不思議な瞳の力を使い、降りかかる脅威を退けていく怪異ファンタジー。
友情とそれに対する葛藤、能力と自分の存在のルーツを辿り決断する物語。
ジャンル:ローファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: シリアス ダーク 女主人公 和風 学園 現代 超能力 オリジナル戦記 ミステリー 異能力バトル 123大賞6 魔眼 無口主人公 氷属性 微ホラー 最終更新日:2025/09/24 19:25 読了時間:約86分(42,734文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 2 pt ブックマーク: 1件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:あーちゃんぬ/作品情報/Nコード:N2573KK
連載中 (全55エピソード) |
人前で、笑顔を貼り付け十三年。
少しでも失敗を犯したら鞭で打たれ、最近は平手もおまけのようについている。
今はそんな鞭打ちのお時間。何回されても慣れないこの鞭打ちも、表面上美しい笑顔で耐えてみせる。
(何回やっても、慣れないわね……)
ルーリア・コキリ・セロライハラ。侯爵家の次女であるがメイドのような暮らしをしている。否、メイドより酷い暮らしをしている。
ワンピースに近い薄茶の埃まみれのドレス。埃を被った髪。その髪は血のように赤黒く、それが理由で家族に虐げられていると言っても良い。髪と同様、目も赤黒くて、まさに血塗れなのだ。瞳がルビーのようなんて、そんな綺麗なものではない。ルビーと呼ばれるものは透き通っていて、生き生きとした赤色の瞳のことを言うのだ。
ルーリアの瞳はそんな色ではない。
赤にはドス黒い黒色も混ざっていて、今にも死にそうな目をしている。髪も同じだ。埃を被って少しばかり見えないは見えないが、よく見れば直ぐに分かるということで。
そんなルーリアが鞭打ちの時間が過ぎて窓拭きをしている最中、母であるギュアカーラの聞いたことのないほどのご機嫌な声を聞き、ルーリアは怪訝そうに窓から門前を見る。すると、ギュアカーラの隣でメティーチェイアが上品なカーテシーを披露しているではないか。
その前には男性がいる。誰かしら。そう思ったのは少しの間。姉と母の自室があるこの廊下には、来ないのではないだろうか。
そう思い窓拭きを再開し鼻歌を歌っていた時、話し声が聞こえて横を振り返ると、あの三人がこちらへ来ているではないか。
ルーリアはバケツとタオルを置いて曲がり角まで逃げた。
男性と姉、母は姉の自室へ入り、それで良いのかと思いつつもルーリアは僅かに開いている扉の間から覗く。
姉がその男性の正体を明かす。
「そうですわ、皇太子殿下」
「っ!」
(こ、皇太子殿下っ⁉︎)
ロドレーム・ココノア・フィンシーカ皇太子。
そんな彼がお暇しようと扉を開けると、そこには逃げ遅れたルーリアの姿が。
彼は目を大きくさせて、固まる。
ルーリアは笑顔になってカーテシーをした。
自分を保ち、恐怖も何も悟られずに。
だから、ロドレームが頬を薄ら染めていることも知らなかった。
ジャンル:異世界〔恋愛〕キーワード: R15 女主人公 魔法 ハッピーエンド ざまぁ/ザマァ 聖女 皇太子 和解! 最終更新日:2025/09/21 18:28 読了時間:約252分(125,604文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 非公開 ブックマーク: 31件 評価人数: 非公開 評価ポイント: 非公開 |
作者:彼岸リト/作品情報/Nコード:N4250LB
連載中 (全2エピソード) |
天城涼真は歌うことが好きだ。いつものように下校中、歌を歌っていたが、ふと振り返ると人が。
「あの歌、ヘブドアの曲ですよね」
歌っているのを聞かれたことから始まる、どこにでもいるような普通の二人の普通の恋愛。
ジャンル:現実世界〔恋愛〕キーワード: ほのぼの 男主人公 学園 現代 青春 スクールラブ 最終更新日:2025/09/15 22:29 読了時間:約4分(1,872文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:藤宮/作品情報/Nコード:N4737LA
連載中 (全3エピソード) |
「お、ゴリラオカマじゃん!」
背後から投げつけられた声に振り返ると、サッカー部の三人組がいた。
キャプテンの大西が片手を振り上げ、もう一方を腰に当てる──いつものオカマのポーズだ。
「おー、今日も化粧濃いな!」
「昨日より眉毛太くね? 先生剛毛?」
「ねえねえ、『今日のブラの色』教えてよ〜」
ゲラゲラと爆笑する三人。
デリタの眉間に深い皺が刻まれる。
「……クソガキ共」
低く響く声。握りしめたポーチが、今にも潰れそうに軋んだ。
「アンタたち! 朝っぱらから何てこと言うの!!」
怒声が校舎に反響する。
スカートがめくれることも忘れ、大股で歩み寄ると──
「ひえっ! ゴリラ激おこ!」
「逃げろ〜!」
三人は悲鳴を上げ、廊下をバタバタと駆けていった。
デリタは肩で息をしながら、その背を見送り、ため息を落とす。踵を返しかけたとき──タイトスカートが太ももまで捲れているのに気づいた。
「やだっ……!」
小さく悲鳴をあげ、慌てて裾を直した。
ジャンル:現実世界〔恋愛〕キーワード: R15 残酷な描写あり ボーイズラブ ギャグ シリアス ほのぼの ダーク 学園 現代 未来 チート 日常 ハッピーエンド パラレルワールド オカマ 筋肉 最終更新日:2025/09/13 01:22 読了時間:約18分(8,946文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:雉白書屋/作品情報/Nコード:N9723KZ
短編 |
……やはり、おれはとんでもなくすごいものを発明してしまったようだ。こうして紙に書き出してみると、あらためてそのすごさを実感できる。……ああ、ほら、すごい。こんな使い方もできるのだ。それに……
「うおっ、なんだよ。来てたのか。言えよな」
突然、肩を叩かれて振り返ると、そこにはキタミが立っていた。小説家志望仲間であり、気安く付き合える友人でもある。キタミはニヤニヤと口元を歪めて、おれを見ている。おそらく、おれのことを観察していたのだろう。こいつは隙あらば、他人の仕草や会話を自作に取り込む性分だから油断ならない。
ジャンル:その他〔その他〕キーワード: 最終更新日:2025/09/09 11:00 読了時間:約4分(1,556文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:雉白書屋/作品情報/Nコード:N9717KZ
短編 |
「くそっ、まただ!」
昼下がりの街角。ざわめく人並みの奥で、おれは立ち止まり、片手をビルの壁につき、吐き捨てるように声を漏らした。
「また、取り逃がした……」
おれはある男を追っていた。ついさっきまでの話じゃない。もう、ひと月近くになる。何度も、何度も……。
ある日の午後、道を歩いていたおれは、うっかり財布を落としてしまった。幸いにもすぐに気づき、振り返ると財布がぽつんと一つ、アスファルトに横たわっていた。胸を撫で下ろし、おれは小走りで駆け寄ろうとした――そのときだった。
一人の男が、先に財布を拾い上げたのだ。「あっ」と思ったが、別に慌てることじゃない。中には免許証が入っている。持ち主がおれだと証明するのは簡単なことだ。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕キーワード: 最終更新日:2025/09/08 11:00 読了時間:約7分(3,025文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 10 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt |
作者:yuyu/作品情報/Nコード:N9524KZ
連載中 (全1エピソード) |
中村美咲は、アイドルグループLumièreの藤咲りのを熱烈に推すガチオタ。日々の中心はいつも推しで いっぱいだった。
新曲リリース日に訪れたタワレコで、美咲の耳に聞 き慣れた声が響く。振り返るとステージで輝くアイドルではなく、普通の女の子の姿をした藤咲りのがいた。無造作な髪、すっぴんに近い顔、頬の薄い傷跡。誰も知らない推しの素顔に、美咲の心は電気が走るような衝撃を受ける。
舞台の光と日常の影。ファンとして知ることのでき ない真実が、ここから静かに動き始める―
ジャンル:その他〔その他〕キーワード: #ライトノベル #アイドル #推し活 最終更新日:2025/09/03 02:28 読了時間:約3分(1,176文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:柚鼓ユズ/作品情報/Nコード:N4803JV
連載中 (全39エピソード) |
父の代から続く、悲願の魔王討伐を苦難の末に成し遂げた勇者アイル=ラグドール。
だが皮肉にもその功績によって、自分よりも偉大な存在になる事を恐れた王によって国を追われる事となる。天涯孤独の身となったアイルにとってもはや国に留まる理由は何一つ無かったため、どこか静かなところで残りの余生を送ろうと考える。
そう思った時、自分が旅の最中で書いていた日記を何となく読み返す。それは自分にとってある意味では冒険の書のような存在でもあった。
手帳で自身の過去を振り返ると同時に、思った以上に自分の手元に不要になった冒険の中で手にした道具の数々が自分の手元にある事に気付く。
「これを元の場所に返したり、必要とするところへ渡す旅に出よう。そして、その旅の最中で自分にとって安住の地を見つける事を今後の目的にしよう」
そう考えた時、自然とアイルはつぶやいた。
『そうだ、終活、しよう。』
今、世界を救った勇者アイルのセカンドライフ&エンディングノート作業が始まった。
(※以前に書いた短編の長編版になります。最初の数話は以前の短編に加筆修正した形になります)
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: スピアノベルス大賞1 男主人公 冒険 ネトコン13 異世界ファンタジー 追放 終活 微ハーレム 最終更新日:2025/09/02 20:08 読了時間:約197分(98,438文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 116 pt ブックマーク: 25件 評価人数: 7 人 評価ポイント: 66 pt |
作者:麦パン/作品情報/Nコード:N1174FT
連載中 (全50エピソード) |
――記憶のない少女が目を覚ますと、そこは人魂が空を舞う死後の世界だった。
地平線まで続く緑の芝生。くぐもった黄金色の空。
そして、少女の眼の前で次々に殴り飛ばされていく青い炎の人魂。
「オラオラオラオラオラオラオラッ!」
少女は人魂を殴り飛ばす【エンマ】という人物と出会うことで、彼女の記憶は始まりを告げる。
そして、【エンマ】が振り返ると少女と目が合う。
「――次はお前か?」
鬼気迫る表情に思わず、気絶する少女と慌てふためく【エンマ】。
――私と【エンマ】の出会いはここからだった。
これは死んでから始まる少女と【エンマ】が様々な真実を知り、眼の前の障害を“ぶっ飛ばす”物語。
死後の世界の管理人『エンマ』と少女が織りなす死後ファンタジーが開幕!
ジャンル:ローファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: R15 残酷な描写あり 異世界転生 ギャグ シリアス ほのぼの 男主人公 女主人公 人外 未来 パラレルワールド 伝奇 死後の世界 閻魔 異世界 最終更新日:2025/08/31 20:00 読了時間:約355分(177,378文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 72 pt ブックマーク: 6件 評価人数: 6 人 評価ポイント: 60 pt |
作者:ピルクル/作品情報/Nコード:N1601KZ
完結済 (全19エピソード) |
第1章:夜の街の白
夜の街を歩く悠真の足音は、静かな路地に吸い込まれるように消えていった。空は暗く澄み、星の光もわずかにしか届かない。いつもと変わらぬはずの街並みが、どこか違って見えた。歩道の石畳は濡れて光り、建物の窓は眠ったままの街を静かに見下ろしている。
その時、遠くに白く輝く建物が見えた。白い壁、白い屋根、そして周囲に漂う淡い光。街の闇に浮かぶその建物は、悠真の胸をざわつかせた。「あれは…何だ?」思わず足が向く。
建物の前に立つと、重厚な扉には小さな札が掛かっていた。「白い図書館」。文字はどこか柔らかく光り、見る者を拒むこともなく、誘うように漂っていた。悠真は息を呑み、扉を押した。
中に入ると、空気はひんやりとしている。だが、冷たさは不快ではなく、むしろ心を落ち着かせるものだった。天井まで届く書架には、無数の本が並び、静寂の中でかすかにページが揺れている。まるで建物自体が呼吸しているかのようだった。
「…いらっしゃい。」
悠真が振り返ると、小さなリスが立っていた。手の平ほどの高さで、灰色の毛並みは月光に淡く光る。瞳は知的で、どこか人間の感情を映しているようだった。
「君…迷い込んだのかな?」リスは口を開いた。言葉を発するその姿に、悠真は一瞬目を疑った。しかし声は確かに届き、意味もはっきりしていた。
「迷い込んだ…のかもしれません」悠真はつぶやくように答えた。言葉が口を通るたび、胸の奥が微かに揺れた。街の夜はいつも通りでも、自分の感覚は変わってしまったように感じられた。
リスは悠真を見上げ、微かに笑った。「ここは、夢と記憶の間にある場所。君が持つもの、失うもの、全部が見えるところだ。」
その言葉に、悠真の心は不思議なざわめきに包まれた。夢と記憶…それは、日常では忘れていた感覚。胸の奥底で眠っていたものが、今、静かに揺り動かされている。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: シリアス 男主人公 西洋 現代 冒険 ハッピーエンド 青春 パラレルワールド 夢 最終更新日:2025/08/27 22:49 読了時間:約47分(23,261文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:P4rn0s/作品情報/Nコード:N6349KY
短編 |
こうして振り返ると、夏は「なぜ?」でできていたように思う。
ジャンル:純文学〔文芸〕キーワード: ほのぼの 男主人公 現代 日常 最終更新日:2025/08/25 20:37 読了時間:約3分(1,452文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:島津義弘/作品情報/Nコード:N4526KX
完結済 (全5エピソード) |
港の潮の匂いは、いつもより濃かった。
朝靄に包まれたエルモラ港の防波堤から、私は帆を畳んだばかりの艦隊を見下ろしていた。海は穏やかで、波は静かに船腹を叩く。それはまるで、長い戦乱の後に訪れた束の間の安らぎを祝福するようにも思えた。
「提督、そろそろです」
背後からの声に振り返ると、副官のリュシアンが立っていた。まだ若いが、海戦での胆力は私が最も信頼するものだ。
今日は、百年以上続いた対立に終止符を打つ日だ。150の組織が一堂に会し、「プタンロード統一盟約」に署名する。大陸史の転換点になる――はずだった。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: 最終更新日:2025/08/19 18:00 読了時間:約24分(11,599文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 12 pt ブックマーク: 1件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt |
作者:春高/作品情報/Nコード:N0270KX
短編 |
主人公の「私」は、朝の通勤電車で窓に映る自分の顔を眺めながら、笑顔や所作で人間関係をやり過ごしてきた過去を振り返る。ある日、窓の中に自分の肩越しに黒い影を目撃するが、振り返ると誰もいない。それ以来、影は毎朝現れ、次第に質感や形を持ち、裂け目のような口を開くようになる。やがて影は主人公に似た姿となり、鏡や窓に映るたびに背後にぴたりと張り付き、笑顔を真似しようとして歪んだ顔を見せる。主人公は眠れない日々を送りながらも、日常の笑顔を続けるが、そのたび影の口は大きく開いていく。金曜の夜、駅前のガラスに映った自分の背後には、昨日よりも深く、鮮やかに笑う“何か”が立っていた。
ジャンル:純文学〔文芸〕キーワード: 最終更新日:2025/08/10 23:16 読了時間:約2分(764文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:東雲明/作品情報/Nコード:N9451KW
短編 |
ピピピ、ピピピ。
朝7時、けたたましいアラームが部屋に響く。
ハヤトは重い瞼をこじ開け、アラームを乱暴に止め、カーテンを引きちぎるように開けた。窓の外、中庭では子供たちが笑いながら走り回っている。夏の熱気と湿った風が頬を撫でるが、俺の心には何も響かない。
あの夜――クロノスの刃が母さんの命を奪った瞬間から、俺の時間は凍りついたまま。窓の鉄柵を握る手に力が入る。クロノス。あの名前を思うだけで、胸の奥で何か黒いものがうごめく。
「ハヤトお兄ちゃん! おっはよー!」
ドアがバンッと開き、ボサボサの髪に泥だらけのスニーカー、ミナが飛び込んできた。首に巻いた古びたハンカチが、朝陽にキラッと光る。
「ミナ、起き抜けにそのテンションかよ。ほら、髪ぐちゃぐちゃだ。くし貸せ」
「えへへ! お兄ちゃん、ミナの専属美容師、任命ー!」
呆れ半分でミナを椅子に座らせ、くしを通す。ミナのハンカチは母さんが昔作ったものと同じ柄だ。見るたび、胸がちくりと痛む。
「お兄ちゃん! 今日、超暑いからさ、ミナ、海行きたい!」
「…ったく、暑すぎだろ、この街。」
海の家の喧騒の中、俺はアイスを二つ買った。が、肩をぶつけてきたチンピラに、片方が砂にべちゃっと落ちる。
「テメェ、チンタラ歩いてんじゃねえよ、クソガキ。」
「…クソガキはどっちだ。」
苛立ちを飲み込み、睨み返す。クロノスの影が、こんな奴の目にも一瞬ちらつく気がした。
「お兄ちゃん、はい! ミナサイズ、半分あげる!」
振り返ると、ミナがキラキラの笑顔で小さな手を差し出し、溶けかけたアイスを俺に押しつけてくる。
「……お前、いつもこうだよな。んじゃ、二人で食うか。」
結局、アイスはほとんどミナの口に消えた。
「お兄ちゃん、だーいすき!」
はしゃぎ疲れたミナは、俺の肩に小さな頭をコツンと預け、すやすやと寝息を立てる。その手が握るハンカチは、まるで光を閉じ込めたみたいに輝いて見えた。
「お前、いつも俺を振り回すよな。」
ミナの温かい寝顔を見ながら、母さんの笑顔が重なる。この子がいれば、凍った心も少し溶ける気がした。
――あの夜が来るまでは。
遠く、海の水平線に不気味な黒い影が揺らめいた。クロノスの気配が、風に乗って忍び寄る。
ジャンル:ローファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: スピアノベルス大賞1 最終更新日:2025/08/10 10:59 読了時間:約2分(898文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 2 pt ブックマーク: 1件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:雉白書屋/作品情報/Nコード:N8885KV
短編 |
「……全伏線、回収開始」
「……は?」
午後、曇天の下。道を歩いていたら、突然背後から肩を叩かれた。反射的に振り返ると、見知らぬ男が立っていた。四十代くらいだろうか。きっちりとしたスーツに身を包み、口元には妙に含みのある笑みを浮かべている。
「全伏線、回収開始……」
「伏線? 意味がよく……あの、おれに何か用ですか?」
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕キーワード: 最終更新日:2025/08/06 11:00 読了時間:約3分(1,305文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:syubi02/作品情報/Nコード:N2924KV
短編 |
大雨の夜、営業終わりのタクシーに、一人の女が飛び込んできた。
全身ずぶ濡れで、震えながら「追われてるの、お願い、走って」と繰り返す彼女に、俺は迷いながらも後部座席のドアを開けた。
行き先は、郊外の小さな坂の上にある学校。
この暴風雨の中、そんな場所へ向かう理由は説明されないまま、車は静かに発進した。
アクリル板の向こう、彼女の姿は霧に包まれ、次第に見えなくなっていく。
それでも「もっと速く」と、どこか水中から響くような声だけが聞こえていた。
車内にはいつの間にか湿気が広がり、ミラーは曇り、床には水が染み出していた。
背中に冷たいものが触れた時、俺はようやく「これはただの乗客じゃない」と理解する。
彼女は濡れ続けていた。乗車から何十分経っても、服も髪も乾かず、むしろ車全体を濡らし始めていた。
呼吸すら重くなるような圧迫感の中、たどり着いた坂の上で、彼女はぽつりと呟いた。
「ここなら、もう大丈夫」
振り返ると、後部座席には誰もいなかった。
残されていたのは、水たまりと、窓ガラスに貼りついた長い髪の毛だけ。
その直後、無線から市街地が海水で浸水したという緊急速報が流れた。
……もし、あの時ドアを開けていなかったら。
今、俺はここにいなかったのかもしれない。
――乗せた女は、乾くことがなかった。
ジャンル:ホラー〔文芸〕キーワード: R15 夏のホラー2025 怪談 水 怪異 都市伝説 タクシー 大雨 災害 視界不良 存在の痕跡 恐怖と救済 最終更新日:2025/07/27 17:00 読了時間:約10分(4,632文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 12 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 12 pt |
作者:大上丈/作品情報/Nコード:N1900EH
連載中 (全79エピソード) |
自分の人生を振り返ると必ず思うことがある。俺の人生は、初めから終わっていたのだと。今から16年前、この世に人間として生を受けた俺は、産まれてすぐ両親に捨てられ、天使に拾われた。始まったのは英才教育。軍人も怖じ気づくような過酷な日々を送っていると、気づけば俺は金属バットで殴られても平気でいられる程の頑丈な肉体を手に入れていた。そしてその代償として、送るはずだった普通の人間らしい青春はいつの間にか泡沫となって消えていた。異常とも言えるような生活を送っていたせいで、人格が歪んでしまったのだ。俺の周りに残ったのは、平然と犯罪を犯すような頭のおかしい連中ばかり。一応言っておくが、友達ではない。それだけは信じてほしい。
「初めまして優さん!」
というわけで、そんな友達のいない灰色の青春を送っている俺の目の前に、ある日突然クソガキみたいな見た目の天使が舞い降りた。なんでも天使曰く、
「あなたを立派な天使にするため天界より降りてまいりました天童美花と申します! よろしくお願いします!」
とのことらしい。やれやれ、ようやく母さんが天界に旅立ってくれたかと思えば、今度はその教え子が仕事として俺の教育をすることになるとは……。本当に、マジで勘弁してほしい。
これは──俺が頭のおかしい天使達と送る、楽しくも地獄のような日々を綴った物語である。
ジャンル:ローファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: R15 残酷な描写あり ギャグ 男主人公 現代 日常 青春 スクールラブ 異能力バトル ラブコメ 怪獣 天使 ひねくれ主人公 最終更新日:2025/07/27 16:46 読了時間:約845分(422,217文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 34 pt ブックマーク: 3件 評価人数: 3 人 評価ポイント: 28 pt |
作者:しゅうらい/作品情報/Nコード:N6123KU
短編 |
セミが鳴く、夏の午後。
僕たち兄弟は、クーラーのある部屋で寝転んでいました。
すると、兄さんが海に行こうと言いだします。
一週間後、家族で海に行きました。
兄さんはすぐ泳ぎに行ってしまいます。
僕が振り返ると、もう兄さんの姿はありませんでした。
皆で探したけど、どこにもいません。
それからのことです。
僕の周りで、不思議な現象が起き始めたのは……
ジャンル:ホラー〔文芸〕キーワード: R15 夏のホラー2025 シリアス 男主人公 現代 日常 最終更新日:2025/07/27 16:02 読了時間:約4分(1,619文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 38 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 5 人 評価ポイント: 38 pt |
作者:山田 バルス/作品情報/Nコード:N3333KU
完結済 (全13エピソード) |
王宮の中庭にひっそり佇む古井戸には、婚約破棄で身を投げた令嬢の霊が出るという噂があった。ある深夜、伯爵令嬢リエージュ=ブリュッセルは、その噂を確かめるため、興味本位で禁じられた中庭を訪れる。
真夜中0時。井戸を見つめていた彼女の背後から、不意に男の声が響いた。振り返ると、そこには黒髪の青年が立っていた。古風な貴族の装束を纏い、どこか影のあるその男は、自身を“幽霊ではないが、体を失った存在”と語る。
彼は王宮内で命を奪われ、体を隠されたのだという。魂だけがこの世界に留まり、自分が“見える者”を探し続けていた。リエージュが初めての存在だったのだ。彼には記憶が一部欠けており、名すら名乗れないという。
リエージュは警戒しつつも、青年の必死な願いに心を動かされる。「なぜ私に?」という問いに、「他に誰も見えないから」と答える彼の姿は、悲しくも真摯だった。
やがてリエージュは口元に笑みを浮かべ、「明日、またここで。条件はそのときに話す」と言い残してその場を後にする。
それは偶然の邂逅ではなく、運命の始まりだった。井戸の底に眠る真実が、今静かに目を覚まそうとしていた――。
ジャンル:ホラー〔文芸〕キーワード: R15 夏のホラー2025 シリアス 女主人公 西洋 中世 職業もの 魔法 日常 ハッピーエンド 青春 古井戸 公爵家 王様 ホラー 恋愛 最終更新日:2025/07/22 01:40 読了時間:約46分(22,754文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 80 pt ブックマーク: 8件 評価人数: 8 人 評価ポイント: 64 pt |
作者:雪民乃翁/作品情報/Nコード:N8350HW
連載中 (全12エピソード) |
ある頃から、戦場に現れては戦死者の死体を連れ去る魔女の噂が流れるようになった。
曰く、激しい籠城戦が行われた日の翌朝城から死体が消えた。夜明け前に畑作業に出た農夫が、道を一人歩く女を見かけ不審に思い声を掛けたが笑い声を残し女は掻き消え、その後をいくつもの死体が呻き声を上げながら連なり歩いていた。
曰く、平原で両軍が激突し何千人もの死者を出した翌朝死体が消えた。停戦協定を結び両軍の死者を回収に向かった部隊が、打ち捨てられた武具を残し連なり歩き去る死体を見た。追いかけたが日が昇り始めると女の笑い声と共に掻き消えた。
曰く、夜中に馬車を飛ばす商人が道なき道を歩く女を見かけその後に続く死者の大軍を見た。商人が死者の大軍に驚いていると背後から女の笑い声が聞こえ振り返ると誰もおらず、再び死者の大軍を見やると女と共に掻き消えていた。
噂である、しかし見た。と言い出す者が後を絶たず、ここ数年続く戦争の地で死体が消えるようになったのも事実であった。
茨の魔女である。誰が言い出したのかは不明だが、死者を引き連れ消える女は茨の魔女と呼ばれるようになっていた。
そして茨の魔女の噂に、新たに騎士が加わる事となった。
妖馬の背に乗り、魔剣を振るう騎士である。
かの魔女に仕える騎士が現れ、魔剣によって城を、砦を、大軍を打ち砕く。死者は茨の魔女が連れ去り、騎士は次の得物を求めて妖馬を進ませる。
骸の騎士である。
これは骸の騎士と呼ばれるようになった少女と、その従僕が茨の魔女と交わした契約の物語。
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕キーワード: R15 残酷な描写あり オリジナル戦記 最終更新日:2025/07/19 23:50 読了時間:約89分(44,359文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 2 pt ブックマーク: 1件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
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