異世界に転生してしまった家族の物語

とある妻とふたりの娘を持つアラフォー、モスカワ・ヒカル（４２） 愛犬シドとの散歩中、強制的に異世界へと転生させられてしまう！ 転移先に居たのは見たことも無い人物達だったが、実は姿を変えられた知人達だった！？ しかも、愛する家族までもが異世界転生に巻き込まれてしまい…！？

元の世界でダイスの死神とまで言われるほど悪名を轟かせた、ある勝負師はあっけなく殺されてしまう。名前も、家族も、何も残すこと無く死んでしまった、彼の元に現れた女神は、新たに生きて何かを得て下さいと異世界転生の道を示す。異世界で手に入れた、《判定》と《成否》のスキル、生前より引き継がれた力と経験は手に入れたスキルをこの上なく活用できるものだった。これは、そんな勝負師が異世界で求めるものを探し、得たものを守る為の物語。

　借金取りから逃げ続ける毎日の果てに、柏　鋼（はがね）は、死んだ。 　だが長きに渡る戦いの日々が、鋼の中に強固な力を生み出しその命を生き長らえさせる。 　その力の名前は『借金』 　己の生命や様々なものを借り受け、莫大な借金を返して強くなる。毎日にくたびれた地球での生を脱し、異世界を生き抜くための特別な力だ。 　そんな第二の人生を提示する女神の姿に、鋼はにこやかに答えた。 「生き返らずに成仏しますよ」 　これは、借金に苦しみ借金に死んだ、借金恐怖症の爆貧青年が異世界で生き方を探すストーリー。 　もしくは、借金もないのに奴隷にされ命を狙われた少女や、鋼の能力の果てに己の野望を願う妖精と、家族となって幸せな日々を望むお話。 ―――あるいは、借金をしては返し、返してはまた借金をする、終わりなき借金地獄を眺める物語である。 　柏の掟は破られる。 　異世界転移から、半日も経たずに。 　どう足掻こうとも、鋼が借金から逃れることは出来ないのだ……！