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作者:西津紀夫 (のん太)/作品情報/Nコード:N5861BG
短編 |
本作品は昭和二七年から三二年まで、文男の幼稚園時代から小学四年生まで、子供の目を通して見、また経験した戦後のわずか一握りの歴史である。
終戦からほぼ十年、現在とは異なり、食べ物やモノも少なく、「生きているうちにバナナを腹いっぱい食べたい」と念じていた時代で、テレビや洗濯機などもなく 、一家に一台のラジオが家族の唯一の楽しみであった。
反対に、日陰に追いやられていた炊事場や洗濯場は主婦を井戸端に集め、洗濯しながらの世間話しに花を咲かせた時代でもあった。
また、初詣や祭りには傷痍軍人数人が参道に白装束を着込んで杖をつき、募金用の箱を置き、アコーディオンやハーモニカなどを奏でながら立っていた。心や体に傷を負って立っていただろう人を別世界に住む人と横目に見ながら、参道に連なる店に並んだおもちゃの鉄砲のことだけを考えながら拝殿に向かった。百五十円のお年玉をしっかりポケットに押し込んで。
戦争がいかなるものか。意識しだしたのは中学を卒業する頃だったと思う。
子供らのあいだで多少のいじめもあったが、社会全体がおおらかといおうか、大人が子供の中に深く立ち入って干渉することもなく、時間軸ものんびり流れていったようだ。
昔といま、良し悪しはさておき、貧しさという戦後の傷痕は残しながらも、貧しさをあるがままに受け、それらが日常のあたりまえのこととして、子供たちは広大な自然の中で育っていった。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕キーワード: 日常 私小説 小川 めだか レンゲ草 自転車 テレビ アイスキャンデー おやつ ショウケ クリスマス 福岡空襲 新聞配達 草野球 戦争 最終更新日:2012/06/25 19:32 読了時間:約46分(22,592文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 4 pt ブックマーク: 1件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 2 pt |
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