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作者:智有 英土/作品情報/Nコード:N6249KY
完結済 (全2エピソード) |
昭和十六年十二月、真珠湾攻撃。日本は歓喜に包まれ、新聞は「連戦連勝」と躍り、街は祝祭のような熱気に覆われた。だが霞が関の一室では、若き研究員たちが冷徹な数字を睨んでいた。石油、輸送船、港湾荷役。油田を奪っても運ぶ船が沈めば戦力は立ち枯れる――彼らの海図には、補給線の空白が広がっていた。
公式発表は「順調」と書き立てるが、現場の数字は沈黙の悲鳴を上げていた。輸送船は行方不明、港には油が滞り、庶民の暮らしには配給の減少と物価の上昇が忍び込む。それでも街は幻影に酔い、精神論に傾いていった。
やがて訪れたミッドウェー、ガダルカナル。敗北は覆えず、「一億玉砕」の言葉が空気を支配した。新聞は玉砕を「栄誉」と讃えるが、机上の数字は全滅を記していた。
昭和二十年三月十日、東京大空襲。街は一夜にして炎の海と化し、数十万が犠牲となった。人々はようやく「勝利の戦」ではなく「死に耐える戦」であることを知る。八月、広島・長崎に原子爆弾。さらにソ連参戦。もはや幻影は一片も残らなかった。
そして八月十五日、玉音放送。人々は「堪え難きを堪え…」の言葉に耳を傾け、敗北の現実を悟った。
戦後、東京裁判で「悪役」は決まり、日本は新秩序へと組み込まれた。だが研究員たちの手元には、開戦前からの「敗北必至のシナリオ」と、不都合な真実の記録が残っていた。止められなかった悔恨と共に、彼らは信じる。――この記録こそ未来の羅針盤になる、と。
本作は、幻影と沈黙の中で「真実を見てしまった者たち」の物語である。
ジャンル:歴史〔文芸〕キーワード: 123大賞6 昭和 史実 時代小説 #太平洋戦争 #歴史フィクション #敗戦の真実 #昭和史 #戦争小説 #軍事ドラマ #東京大空襲 #玉音放送 #原爆 #総力戦研究所 #記録と証言 最終更新日:2025/08/24 06:00 読了時間:約36分(17,991文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:智有 英土/作品情報/Nコード:N8104KX
短編 |
昭和十六年、開戦前夜の日本。
各省庁や一流企業から若きエリートたちが集められ、極秘の研究機関「総力戦研究所」が設立された。彼らに課せられた使命は、もしアメリカと全面戦争になった場合、帝国はいかなる未来を迎えるのかを冷徹にシミュレーションすることだった。
研究員たちは経済力、工業力、資源の動員可能量を徹底的に調べ上げた。英国ロイズ保険の統計に基づき、海上輸送の撃沈率を計算すると、石油を確保するためにインドネシアを占領したとしても、二年以内に輸送船団は壊滅し、帝国は石油を失う――という厳しい結論に至った。数字は「敗北必至」を告げていたのである。
しかし、その報告が東条英機ら政府・軍の中枢に届いても、真剣に受け止められることはなかった。陸軍・海軍が独自に行った試算は、客観的根拠を欠きながらも「なんとなく勝てる」という楽観に満ちたものであり、国の意思決定はその歪んだ指針によって導かれてしまう。
研究員たちは沈黙を余儀なくされた。彼らは「未来を描いた設計図」を手にしながらも、誰にも信じてもらえず、傍流へと追いやられていく。その間にも御前会議は開かれ、ついに「対米英開戦」が正式に決定された。
やがて迎える十二月八日。国民はラジオの宣戦布告を熱狂の声で迎え、街は祝祭のような空気に包まれた。しかし研究員たちにとって、その響きは勝利の鐘ではなく、不可避の敗北へ向かう鐘の音にしか聞こえなかった。
「羅針盤なき航路」――本来なら正しい進路を示すはずだったシミュレーションの真実は葬られ、国家は指針を失ったまま、荒れ狂う太平洋へ漕ぎ出していったのである。
本作は、史実を参考にしつつ創作を交えた歴史フィクションである。
「なぜ戦争は避けられなかったのか」という問いに迫りながら、平和な市民社会と歪んだ意思決定の落差を描き出す。歴史の影に葬られた真実を、いまここに物語として蘇らせる。
ジャンル:歴史〔文芸〕キーワード: 秋の文芸展2025 昭和 史実 時代小説 123大賞6 太平洋戦争 歴史フィクション 戦争小説 シミュレーション 総力戦研究所 東条英機 開戦前夜 数字が告げる敗北 歪んだ意思決定 国運を賭けた瞬間 最終更新日:2025/08/16 19:00 読了時間:約28分(13,718文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 94 pt ブックマーク: 2件 評価人数: 10 人 評価ポイント: 90 pt |
作者:高鉢 健太 /作品情報/Nコード:N3938KE
完結済 (全55エピソード) |
1938(昭和13)年9月、大日本帝国陸軍はとある理解不能な文書を手にした事に困惑し、軍務課においてその調査を行う事となった。
その内容が多岐にわたり、事が陸軍内で収まらなくなった事から海軍にも図り、総力戦研究所として陸海官学による新たな機関を創設して文書研究が行われるていく。
痛快娯楽火葬戦記のはじまりだよ~
ジャンル:歴史〔文芸〕キーワード: R15 残酷な描写あり 昭和 ミリタリー IF戦記 歴史改変 架空戦記 第二次世界大戦 架空戦記創作大会 太平洋戦争 痛快娯楽架空戦記 最終更新日:2025/07/25 20:00 読了時間:約282分(140,834文字) 週別ユニークユーザ: 1,076人 レビュー数: 0件 総合ポイント: 5,440 pt ブックマーク: 961件 評価人数: 398 人 評価ポイント: 3,518 pt |
作者:異不丸/作品情報/Nコード:N8253DM
完結済 (全59エピソード) |
東條英機:陸軍大将、内閣総理大臣。
山口志郎:陸軍主計大佐、内閣総力戦研究所高等班班長。
山口吾朗:陸軍大尉、陸軍中野学校研究部。
山下泰文:陸軍中将、陸軍大臣。
土肥原賢二:陸軍大将。教育総監。
多田駿:陸軍大将、参謀総長。
栗林忠道:陸軍少将、陸軍省軍務局長。
田中隆吉:陸軍少将、陸軍省兵務局長。
本間雅晴:陸軍中将、参謀次長。
吉田茂:駐米全権大使。日米交渉全権。
山藤重一:外務省外交官補、在米大使館書記補。
甘粕正彦:満州映画理事長。
星野直樹:内閣書記官長。
鮎川義介:満州重工業開発総裁。
ジャンル:歴史〔文芸〕キーワード: IF戦記 架空戦記 昭和 東條英機 大日本帝国 陸軍 北阿油田 最終更新日:2018/02/03 09:00 読了時間:約446分(222,522文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 挿絵あり 総合ポイント: 477 pt ブックマーク: 140件 評価人数: 22 人 評価ポイント: 197 pt |
作者:異不丸/作品情報/Nコード:N2395CR
完結済 (全53エピソード) |
東條英機:陸軍大将。内閣総理大臣、陸軍大臣、内務大臣。
山口志郎:陸軍主計大佐。内閣総力戦研究所高等班班長。
山口吾朗:陸軍大尉。陸軍中野学校研究部。
土肥原賢二:陸軍大将。陸軍教育総監。航空本部の若手部員に扮した吾朗に洗脳される。洗脳が解けた後、満洲国を使った陰謀を企む。
田中隆吉:陸軍少将。陸軍省兵務局長。国産抗生物質碧素第1号の実験に志願し、脳梅が完治する。斡旋した吾朗に心服、信服する。
中野正剛:衆議院議員。国務大臣。大臣就任にあたり、星野に説得されて東方会を解消する。酒も煙草もやらなかった筈が・・・。
松井石根:陸軍大将。日支交渉全権。
吉田茂 :駐米特命全権大使。日米交渉全権。
ジャンル:歴史〔文芸〕キーワード: IF戦記 歴史 架空戦記 昭和 東條英機 戦争 軍隊 日支交渉 日米交渉 帝国陸軍 大日本 最終更新日:2016/06/15 09:00 読了時間:約373分(186,217文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 挿絵あり 総合ポイント: 486 pt ブックマーク: 138件 評価人数: 23 人 評価ポイント: 210 pt |
作者:異不丸/作品情報/Nコード:N4542CQ
完結済 (全43エピソード) |
東條英機:
思いもよらぬ組閣勅命に明治神宮で神頼み。神意により並行世界を探訪。
帰還して、日米戦阻止と帝国改革に邁進する。
内閣総理大臣、陸軍大臣、内務大臣。
山口志郎(仮名):
東条が跳ばされた最初の平成日本で、東條を救出・支援。
東條が戦友と呼ぶ。
その後、東條と一緒に次の並行世界へ跳ばされる。
最後に、東條の昭和日本に来て、東條と共に働く。
陸軍予備高等主計(大佐)。内閣総力戦研究所高等班班長。
山口吾朗(仮名):
次の平成日本の住人。抗米義勇軍(ゲリラ)のコマンド。志郎の息子。
東条が命の恩人と呼ぶ。
スパイマスターにして洗脳の天才。
抗米義勇軍に参加した東条と志郎と共に戦う。
陸軍大尉。陸軍中野学校研究部。
ジャンル:歴史〔文芸〕キーワード: IF戦記 戦争 架空戦記 昭和 軍隊 東條英機 歴史 陸軍 帝国 日本 最終更新日:2015/05/23 18:00 読了時間:約132分(65,716文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 挿絵あり 総合ポイント: 685 pt ブックマーク: 195件 評価人数: 34 人 評価ポイント: 295 pt |
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