魔法がすべてを決める帝国に生まれた公爵家の末息子アラン。 選んだのは「最強」と信じた光属性――だが、魔力量は規定値の半分。 兄姉からは落ちこぼれと嘲られ、武器を取ることすら「貴族の恥」とされる。 けれど、諦めるわけにはいかない。 光で敵を怯ませ、槍で突く――誰も真似できない“泥臭い戦い方”でダンジョンへ挑む！ スライム戦から始まる命がけの初陣、ゴブリン、コボルトとの死闘―― やがて彼が手にしたのは、光を通す不思議な槍と魔導士のローブ。 「俺は必ず証明する。光魔法は最強だって！」 落ちこぼれ公爵子息の“懐中電灯芸”から始まる逆転劇。 ダンジョン×成長×槍術の異端ファンタジー、開幕！

地方の進学校・県立羽佐見（はさみ）高校。 田園地帯にある静かな学舎で、生徒たちは模範的な教師・**間宮修司（まみや しゅうじ）**に憧れていた。 「生徒一人ひとりを愛し、導く教師」――そう呼ばれた男。 だが、彼には感情がない。 喜怒哀楽を装い、模範的行動を演じ、他人の“心の動き”を観察しながら支配していく。 間宮の中では、人間は「秩序を乱す動物」でしかなかった。 彼の教室は、笑顔と挨拶に満ちている。 だがそれは、“よく訓練された羊の群れ”のような静けさだった。 ある日、生徒の一人が屋上から転落する。 学校は「自殺」と断定。 だが、国語教師の立花真帆は違和感を覚える。 教室の黒板に残された文字—— 《正しい指導を受けられて、幸せでした》 真帆が掘り下げていくうちに、職員室の中で封じられてきた“教育的狂気”が露わになる。 生徒の家庭、進学実績、教師同士の序列。 すべてが間宮の支配下にあった。 夜の校舎。 職員室の電灯だけが灯り、窓の外で風鈴が鳴る。 その中で間宮は微笑む。 「教育とは、淘汰だよ。人間の形を保ったまま、壊していく作業なんだ」

　山あいの町に夏の終わりを告げる「返礼日」の名簿が届く。行かなかった家の窓に夜ごと手形がひとつずつ増えるという風習に、Uターンしたばかりの木下悠真は鼻で笑う。だが今年の名簿には、半年前に亡くなった父の名が記されていた。隣家が参拝をさぼるにつれ、窓の手形は確実に増えていく。保健師の志摩と共に過去の記録を洗ううち、名簿の意味は“墓からの呼び出し”とは少し違うのではないかと思い始める。手形は消せるが、数は減らない。帳尻が合うのは、誰かがまだ支払いを済ませていないからだ。 名簿は、ポストじゃなくて牛乳受けに入っていた。 封筒は、古い紙の匂いがした。宛名はない。指で撫でると指腹が粉を吹いた。 今年も、だと母が言った。 「返礼日。回覧回すから、あんた班の分、仕切っとくれ」 母の口ぶりは、相づちと同じ軽さだった。僕は封を切って、毛筆の行を追った。姓だけが並ぶ。鵜飼、真柴、木下──そこで目が止まる。 木下の下に、もう一行があった。 木下　仁。父の名。 半年前に死んだ人間が、自治会の名簿に載るわけがない。僕は笑って、母の顔色を窺った。母は台所のタオルを握りしめたまま、窓を見ていた。 「今年は、拭いちゃだめだよ」 「なにを」 「窓。あんた、小さい頃から指でなぞる癖があるでしょう」 しらばっくれて、封筒を持ったまま玄関に戻る。外は、盆明けの湿気が溜まっている。向かいの真柴さんちの窓に、白い手形が一つ、貼りついていた。 拭けば落ちるような薄さだった。 「去年のは、二日目で二つになってた」 背中から声がした。振り返ると、自治会長の鵜飼さんが道の端に立って、額の汗を拭いていた。 「数は合うんだ。名簿とね」 「何の数がです」 「手の数」 老人はそれだけ言って、ポケットから同じ封筒を取り出し、空に透かした。紙は透けない。けれど、何かが透けたような気がした。 夜になると、手形は見えなくなった。電灯の映り込みのせいだろう。翌朝、窓ガラスはからりと乾いていた。手形は消えていた。だが母は指を折って、一から数えはじめた。 「一。ほうら、やっぱり、昨日のが一つ」 僕には何も見えなかったが、数だけが頭にこびりついた。数字は軽い。軽いのに、落ちない。

誰の人生にも、突然「ＳＦの道具」が現れたなら？ これは、ソウルの片隅で平凡な毎日を送る、五人の韓国人が主人公の物語。 ガラクタの中から見つけたプロジェクターで、未来の幻影を観たOＬ。 黄金の米を炊く炊飯器によって、国の命運を握ることになった浪人生。 店の忘れ物から「目の前の人間を強制的に右に曲げてしまうボタン」を見つけた、焼肉屋の女店長。 お古の洗濯機が上々の人生を運んできた、エリートに憧れるコンビニアルバイター。 おじいちゃんにもらった懐中電灯で、夜な夜な推しのポスターを照らす不登校の女子高生。 ＳＦ的なガジェットがもたらすのは、大成功か、それとも破滅的な真実か？ 退屈な日常が、一瞬で喜劇（コメディ）や悲劇（サスペンス）に変わる、韓国を舞台にした、連作短編ＳＦ集。 ——あなたの明日の運命を決める道具は、今どこに隠されていますか？

大正ロマンの華やかさに彩られた帝都東京。ガス灯と電灯が織りなす幻想的な夜の街では、人間と妖怪が共存する不思議な世界が広がっていた。望月家の没落した一族に生まれた茉莉は、叔母・志津とその娘・美鈴による虐待に耐えながら、ひっそりと暮らしていた。彼女の母が妖怪に心を許したことで家は没落し、茉莉は「穢れた血統」と蔑まれ、粗末な着物をまとい、夜通し呪符を作らされていた。美鈴には母の形見の簪を壊され、復讐の念を抱きつつも、茉莉は内に秘めた月影術の力に気づき始めていた。そんな中、陰陽局の若きエリート・蓮夜と出会い、彼女の人生は大きく変わる。蓮夜は、妹を失った過去と妖怪を敵視する陰陽局の制度に疑問を抱き、妖怪との共存を夢見ていた。二人は、黒焔の鬼を封じる事件を通じて絆を深め、茉莉の月影術は「精霊との共存の象徴」として陰陽局で注目を集める。 茉莉は妖怪の長老「霧隠の翁」と対話し、妖怪との協調に道を見出す。帝都では彼女の力が評価され、華族社会で「月影の巫女」と称されるが、志津と美鈴は嫉妬に燃え、茉莉を蓮夜から引き離し、帝都から追放する陰謀を企てる。志津は禁術で妖怪「影狼」を呼び出し、蓮夜の屋敷を襲撃させ、茉莉を呪詛で縛る。美鈴は社交界で茉莉を中傷し、偽の証言で彼女を陥れる。しかし、影狼は志津の支配に反発し、帝都を混乱に陥れる。月の妖精の導きで呪詛を破った茉莉は、蓮夜と共に「月雷の封印」を編み出し、影狼を封じる。事件の渦中で、茉莉は「私は妖怪と共に歩む力を誇りに思う」と本心を明かし、蓮夜も「君を愛している」と告白。二人は互いの気持ちを確かめ合い、絆を深める。 華族の裁判で、月の妖精が志津と美鈴の悪行を暴き、虐待や陰謀が光の映像で再現される。志津は地位を剥奪され、追放され、妖怪の呪いに苛まれる。美鈴は術を失い、下働きに落ちぶれる。茉莉は住民の謝罪を受け、帝都の希望となる。月読神社で蓮夜と陰陽婚礼を挙げ、「月雷の契り」で結ばれる。二人は「人間と妖怪の共存」を目指す陰陽師夫婦として新時代を切り開き、陰陽婚礼制度は「血統」から「共鳴する力」へと変わる。月夜の庭で寄り添う二人が未来を語り、月の妖精が見守る中、帝都に新たな伝説が生まれる。茉莉と蓮夜の愛は、華族社会を超え、永遠に輝く。

歩いていると懐中電灯を持った語り部が声をかけてくる「こんにちは、はじめまして…」その間の話しかけられる側は何か不思議な体験をする 世界が白濁したようになり人々は自分など居ないかのように振る舞い始める、そこに一つ挿し込まれる 灯り 「こんにちは、はじめまして」

潮風に錆びついた観覧車。夜になると、誰もいないはずのメリーゴーランドが軋みながら回り出す。 海辺の廃墟遊園地「ルナ・パーク」には、かつて子どもたちを乗せて園内を案内していた白いユニコーンの伝説が残されていた。 妹の失踪から半年。少年・蓮は、最後の目撃情報を頼りに、懐中電灯ひとつで遊園地へと足を踏み入れる。 響く童謡、現れる白い影。 それは、過去と現在を繋ぐ“案内役”なのか、それとも—— 幻想と記憶が交錯する、海辺の怪奇譚。 「真夜中にだけ現れるユニコーンに、乗ってはいけない。」

大学生活最後の一年間。 僕は卒業に向け、授業と論文作成に追われていた。 いよいよ社会人になることへの期待と不安、興奮と焦燥。 友人との青春を謳歌し、恋人との日常を満喫している。 きっと今が一番幸せだ。それなのに。 同じゼミナールの後輩、清水さんの失踪をきっかけに、そんな幸福が崩壊していく。 清水さんはどこに消えたのか。僕は懐中電灯を握りしめた。

　呑まれることなく、その闇を裂け。

東京の下町にひっそり佇む雑貨屋「三日月堂」。祖父の遺志を継いで静かに営業を続ける店主・成瀬悠馬は、ある日、店の倉庫に奇妙な木の扉を見つける。試しに開けてみると、そこは──異世界の小さな村だった！ 懐中電灯、石鹸、文房具、湯呑み……日本ではありふれた品々が、異世界では驚きと感動の的。言葉も文化も違うけれど、雑貨ひとつで心が通じる。素朴で心温まる交流の中、村の少女ティナや村長バルドと親しくなり、異世界の人々の暮らしにも少しずつ関わっていく成瀬。 だが、王都からの視線、商業展開の圧力、そして扉を巡る謎も少しずつ近づいていて――？ 異世界と現代を繋ぐ、まったり雑貨屋ライフ。 「いらっしゃいませ、扉の向こうのお客さま」

電灯を立てる男のお話。

　これは、知人が住む古びたアパートの部屋で起きた話だ。夜中、彼は寝ようとして部屋の電灯の紐を引き、明かりを消した。 　――ん？ 　そのとき、彼はもう一本、見覚えのない紐が垂れ下がっていることに気づいた。 　――さっきまで、こんなのなかったよな……？ 　それは天井からぶら下がり、ぼんやりと白く淡く発光していた。蜘蛛の糸かと思ったが、それにしては太い。彼は気になって、その紐を引っ張った。するすると滑らかに引けた。ただ、どこか生々しい反発力を感じた。 　違和感を覚えながらも引き続ける。そして、糸の先を追って天井を見上げたときだった。そこに奇妙なものが浮かび上がった。

ある晩、私は何者かに首を絞められた。驚いて電灯を点けると、なんと私の首を絞めていたのは、私の右手だったのだ……

「電球のその明るさに火袋を」を上の句にしている短歌です。 文字数を埋めるためにお見苦しい点はあると思いますが、ご容赦ください。

学校を休みがちな男子高校生・梶野秋は今日も深夜に一人散歩をしていた。 そんな中突如現れたのは、懐中電灯とそれを持つ少女、景文彩の姿であった。 懐中電灯から放たれた光は、秋の瞳の奥を突き刺す。 「君はさっき、この光に反応していたよね？」 彼女に出会って以降、秋はこの世界とは別の場所で、天使と悪魔が支配する世界が存在することを知る。 そこでは、少しずつ秋の住む地上への侵略計画が進行しているのであった。 秋は、一体どれほどの試練を乗り越え、そしてどこへ向かっていくのか。 天地が交錯する物語に、皆巻き込まれていく。

『電灯に眼を焼かれる』 連作の私小説的小説。右目が白色に覆われる、恐怖と不可思議の物語。

暗闇の中を1人で歩く。

　日向レオは、気が付けばすべてを忘れて暗闇に立っていた。煌々と自分にだけ降り注いでいる電灯の光、記憶喪失になって呆然としていると、突如、ゾンビのような見た目をした感染者に囲まれる。 　その窮地を救ってくれた軍人のライラと倉庫に逃れたレオは、倉庫の扉を破壊して侵入してきた新種の感染者に拳を噛まれてしまう。 　なんとかライラの仲間の助けを借りて倉庫から脱出するも、次にレオを襲ったのは異常な高熱と倦怠感。感染者への変身、その兆候？だった。 　ライラの仲間たちから抗議を受け、レオは一人ヘリを下ろされる。一人になったレオはさまざまな土地でいろいろな人々と出会い、本来の目的を思い出していく。自分が人間でないことすら忘れていたレオのデミヒューマンとしての戦いが始まる。

臨海学校のレクリエーションの肝試し。その順番待ちをしている後ろで女子が噂話をしていた。俺はペアの男子と一緒に神社の石段を上る。木々に覆われて暗い中、突然持っていた懐中電灯が消えて――。

近所に一つだけ電球がない電灯がある。