戦乱モノなので心にくる描写も多く、読んでいて終始振り回されているような気分だった。
それはこの作品でしか味わえない、何とも言えない爽快感と気持ちの悪さが混じったもの。
しかし主人公なら何とかしてくれるという信頼があり、安心して読み進められる。
これほど引き込まれたのは、ファンタジーとリアルのバランス感覚が非常に高く、
先の読めない展開と緻密な人物描写によって現実と錯覚するような纏まりがあるから。
それでいて小難しい描写や長ったらしい独白がなくスラスラと頭に入ってくる。
この密度と読みやすさを両立した作者の卓越した文章能力は圧巻の一言。
連載中ながら総合的に見て並ぶ作品がパッと思いつかないレベルの傑作。