イチオシレビュー一覧

全87734件中68851~68860件を表示
「やった!槻影さんの頭おかしい主人公だ!」
作品を見つけた時、まず浮かんだのがこの台詞である。そしてやっぱり頭おかしかった。

周囲をNPC扱いするやられ役転移者はよく居るが、ここまで徹頭徹尾ゲーム視点な主人公だともはや笑うしかない。蹂躙され常識を吹き飛ばされる一般人達。振り回されて涙を流すヒロイン?達。レベルが上がらず、不憫さとマスコットレベルだけ増え続ける眷属のサイレント。

正直好き嫌いの分かれる作品だろう。一話で無理か面白いかがすぐ分かる。
適正のある方は読み進めて欲しい。アビコルの闇の深さにどこまでもハマりながら笑い続けるだろう。

なお、読んでいて課金したくなったり、レアが出る気がしてガチャしたくなっても罠である。
おのれエレナめ。
VRMMO転移の導入はありふれたものだろう。だが他とは一線を画するのが、圧力すら感じる文章力だ。
安っぽい書割りではなく、色や香りすら感じる世界観。話に都合の良いNPCではなく、感情や生活感が思い浮かぶ登場人物達。そして、痛みや命のかかった恐怖を感じる戦闘描写。世界観を深める設定集やイラストもまた素晴らしい。

主人公たちにとって都合がいい劇ではなく、まず世界があり、そこに流れ着いた主人公達の物語。当然、そこには残酷な描写も悲劇もある。生々しい現実感がある。
独りだと押しつぶされていたかもしれないが、隣には愛する相棒が居るのだ。二人の日常は重たいだけでなく、暖かさも微笑ましさも甘さもある。というか……甘い。ゆうべはおたのしみである。

青年が愛する人と生きる物語。是非、ご一読願いたい。
レビュー作品Vermillion;朱き強弓のエトランジェ甘木智彬連載中 / 全126エピソードハイファンタジー[ファンタジー]
文章力、伏線や展開、設定や知識の使い方、登場人物の魅力。どれをとっても非常に完成度の高い名作。
成り上がりや現代知識チートもあるが、雰囲気は怪獣映画が近いだろうか。

とにかく知識の応用が上手く、他とは一線を画する面白さだ。
主人公は元経済学部の学生であり、数や経済などの普遍的な知識と概念を武器とする。技術を持つのは他の学者や職人であり、1人ではなにもできずチームを組んで挑む。日本と同じ事をせず、概念を『魔力学』と組み合わせ、工作精度の問題は『錬金術』を利用する。そして失敗も試行錯誤もするのである。物理や生物の話もあるが、説明もわかりやすいので敬遠するのは勿体無い。

戦闘での無双、魅力的な登場人物達、空気にならずちゃんと恋愛するメインヒロイン。災厄の予言を軸として、広がっていく仲間達や世界観と、終わりに向けて収束する伏線の数々。とにかく完成度が高い。
まずは読んで欲しい。読めば分かる。
レビュー作品予言の経済学 ~巫女姫と転生商人の異世界災害対策~のらふくろう完結済 / 全280エピソードハイファンタジー[ファンタジー]
FPSが好きでも紛争地域に行きはしない。大河ドラマが好きでも、戦国時代でやってはいけない。
安全なゲームと現実には大きな壁がある。

国家運営系SLGで魔物の国を率いる主人公は、超常の力も異形の精神も持たず「人間」として異世界に転移する。配下の魔物は強靭な力を持つが、このゲームは『反乱』もあるのだ。胃薬必須である。
主人公が弱いのが作品の特徴だろう。異世界で豹変せず、混乱し苦悩し夢だと疑い、そして現実を受け入れる。天才的な策略家でも一方的な侵略者でもない一般人であり、もどかしさもあるが共感しやすい。
ゲームから現実となった配下達と見知らぬ世界で、彼がどう生き抜いていくのかが気になり、見守りたくなる。

軍団転移物は先人の壁が厚くキャラも多く、国家の戦略や諜略がからみ難しいジャンルだ。
期待や不安から様々な意見があるだろうが、一歩ずつ進んで言って欲しい。
容易く成り立つ国家などないのだから。
レビュー作品異世界国家アルキマイラ ―最弱の王と無双の軍勢―蒼乃暁連載中 / 全77エピソードハイファンタジー[ファンタジー]
大好きな祖父が亡くなり、使っていた眼鏡を引き継いだ小宮山紬は、とてもどんくさい。

でも、誰かの為に何かが出来ないか、気付いたら考えてしまう様な優しい娘。

唐突に、幽霊や妖が見える様になってしまった彼女は、お祓いや除霊を専門にしているという千秋寺へと駆け込む事になる。


妖の生き様。神の生き様。それに関わる自分という生き方。
様々な種類の妖と、関わっていく沢山の人々の中で、彼女は自らの力と向き合いながら、ゆっくりと成長していく。

それぞれの領分があったとしても、生きる上できっと誰もが関わってくる、そんな沢山の事にほだされていく。

それが彼女の、小宮山紬の絆される日々。
ハラハラとしながらも彼女の日々を見守る物語、めくってみませんか?
レビュー作品小宮山 紬の絆される日々151A完結済 / 全105エピソードヒューマンドラマ[文芸]
もしも、どんな願いでもかなう箱があるとしたら、あなたはそれに何を願うのでしょうか?

そもそも願いとは、自分の心を満たすためのものです。

人間は自分の心を満たすために、いろいろな願いをします。

富。

名誉。

力。

快楽。

ですが、この物語に登場する少年は、そんなものとは違う願いをします。

その願いに、全ての人が納得できる訳ではないでしょう。

しかし私は、その少年の願いに心を満たされました。

そしてそれは、ひよっとしたら、あなたの心も満たす事ができるかもしれません。

この物語は途中から、ものすごくダークな展開になりますが、その先で明らかになる少年の願いを、ぜひあなた自身の目で確かめてください。
レビュー作品魔女たちの夜宴あまやどり連載中 / 全184エピソードローファンタジー[ファンタジー]
――勇者とは、民衆にとって光という希望を紡ぐ、聖なる者。
 では、魔物にとって魔王とはどのような存在であるのだろうか――?

 勇者と魔王。光と闇。
 多くの場合、二つはコインの表と裏のように、決して相入れることのないモノとして、紙の上で、はたまた0と1の集合体で描かれてきた。

 ゲームの中、勇者として見知った虚構のはずの世界に転生した少女。好きだったゲームの物語の中、自身に与えられたのは勇者に倒される“魔王”の役目。
 “魔王”の肩書きを背負いながら、前世の記憶と複雑な想いを抱えて足掻く少女。
 その結末を、見届けてみてはいかがでしょう?

 RPGゲーム好きならきっと知っている〈あの台詞〉を交えた、とある魔王と勇者の物語。
 ハッカーという言葉が社会に定着した古典的サイバーパンクの時代には様式が定まっていなかったコンピュータスクリプトを作品に取り込んだ小説は少なかった。
 一方でギークという言葉が定着した最近はそれなりにコンピュータが陳腐化したせいか、再びハードウェアに着目されているせいか、人工知能の可能性に目を奪われているせいか、スクリプトという字幕演出にこだわる作品が減っている中、素敵に手頃にテクニカルな空気感のある演出を軸にした、サイバネティクスなボックスマッチの物語。
 なろうの中では探すのも難しいSciFiに軸をおいたサイバーパンク作品。
 シノプシスとして引き抜かれているふしぎの国のアリスもチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンの退屈しのぎの論理学の迷宮だった。
 論理学の奇妙な風景は、SciFiの根源でもある。

 電子と異界知性の言葉の飛び交う迷宮を楽しもう。
レビュー作品雨の中のアリス九条 寓碩完結済 / 全80エピソード空想科学[SF]
 この作品の主人公は、看護師を目指して勉強中なのです。
 その主人公の許に、ある日友人から連絡がはいります。話を聞いて欲しい……と。

 その友人の家系は、女性特有の病気に罹る人が多く、この友人も若いうちから検診を受ける習慣があったようでした。
 その結果が、20歳の友人の心にのしかかる。
 告知を受けて、辛かっことでしょう。境遇を呪ったかもしれません。そして、手術。

 手術後、お見舞いに行った主人公に対して、自分のことよりも主人公の経験値のために診察に同席を願いでる。
 自分の病気に向き合い、前向きに生きていこうという友人の優しさと根性に感動することでしょう。
 その言葉に、主人公もまた、自分の夢を支えてくれる友人の存在に改めて頑張ることを誓うのです。

 この作品を読まれた読者さまは、きっと、ふたりを応援したくなると思います……。
レビュー作品告知は二十歳の誕生日菜須よつ葉完結済 / 全5エピソードエッセイ[その他]
 腕は切断され脚は切り落とされた。
 憎むべき男たちに友人たちと共に拉致され娼婦にされた女、ミケーラ・リンク。

 彼女らをこの境遇に追いやってしまい心を病んだ友は目の前で殺され、一言彼女に残した。

『逃げて』

 逃げる場所など無い。
 その後まもなく手も足も奪われた。

 それでも彼女は逃げ出した。
 美しかった身体を汚泥に漬け、炎で髪と顔を焼き、芋虫のように草木で身を削りながら這いずりだす。

 逃げるわけではない。
 闘うのだ。必ずヤツらに復讐してやる。

 親切な殺人鬼。
 心なき優しさの快楽殺人者。
 味方でも平気で売り飛ばすproducer。
 協力者を得て彼女は脚無き身体で走り出す。
 
 外道どもを狩りつくせ。
 見せ物小屋の犬どもよ。
 残された時間(いのち)を燃やし尽くせ。
 君は、君たちはなにより美しい。

 ご一読ください。
レビュー作品外道猟兵ミケーラ・リンク赤井"CRUX"錠之介完結済 / 全28エピソードその他[その他]