前の方のレビューで踏み込まれていないところへ、あえて踏み込んでみます。
この作品、かなり深刻なものを扱っているにもかかわらず、同じフレーズの繰り返しによるおかしみの配合された、軽快な皮肉になっています。
なぜ、真剣なトーンで語らないのか。それは、
「実はさ……」と語られるより、「あ、そうそう……」と語られたほうが、人は耳を傾けるからです。
真剣に伝えたいことこそ、軽く茶化して表現する。そうすることで、強力な風刺になるのです。
この作品のラストを読んだあなたは、きっと「ははは」と笑うでしょう。でもそのあとに、ゆっくりと口角が下がってくる。
最後から二番目の連の言葉が、あなたの耳に残るはずです……