元テレビディレクターの夜野礼司は、妻と娘を失った過去を抱えながら 犯人を捜すためにタクシー運転手となった。 だが彼の車には、普通ではない「乗客」ばかりが現れる。 死者、怨霊、そして“鬼”。 礼司は謎多き少女・魔美と共に、 人と鬼の狭間に潜む事件へと巻き込まれていく。 都市の闇、家族の絆、そして人間の罪。 タクシーのヘッドライトが照らす先には、必ず「地獄」が待っている。

遥か遠く若しくは近未来。 仮想現実が現実に普及した現代。 余命いくばくもない僕は死後の余生を電脳世界で過ごそうとしていた。 ……という夢らしき物をみて目的の駅を僕はおり遅れ「きさらぎ駅」で降りることになった。 　奇妙な乗客達とと共に。 　そこで遭遇した様々な出来事に新しい仲間に出会いは僕に不思議な満足感を与えてくれることに。 　でも……出会いが人外多過ぎね？ 　 ※　２０２５年９月２8日誤字報告有難う。

和空（わから）世奈（せな）は、日本で総合クレーム窓口に勤める女性。 日々、理不尽な「カスタマーハラスメント」にさらされ、心身をすり減らしていた。 唯一の支えは、母から受け継いだ「いつか世奈を守ってくれる」と言われた首飾り。 しかし孤独と絶望の中、彼女は誰にも看取られることなく命を落とす。 ――目を開けると、そこは異世界だった。 着ていたのは死の瞬間のままのパーカーとスウェット姿。荷物も金もなく、ただ首には宝石のついた母の形見のネックレスだけ。 やがて世奈は、その宝石が理不尽を前にすると輝きを変えていくことに気づく。 青から黄へ――スキル【強制共感】。 相手に自分の行為を追体験させ、精神的に「わからせる」力。 そして、赤へ――スキル【わからせ隊】。 世奈の胸から黒き霧があふれ出し、黒騎士たちが現れて相手を圧倒的な力で物理的に「わからせる」力。 転生先でも横行するハラスメントや理不尽。 馬車の乗客から、薬草師を苦しめるクレーマー、収穫を買い叩こうとする商人、そして権力を笠に着る領主の息子まで……。 「前の世界では我慢した。だからこの世界ではわからせる。理不尽に慈悲はない」 世奈は“カスハラハンター”として、人々を苦しめる理不尽に立ち向かう。 やがて彼女は領主から認められ、腐りかけた国そのものを変えるためにある組織との大きな戦いに巻き込まれていく。

　離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。 　しかし、運命はそれを許さなかった。 　衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。 　絶体絶命のピンチ！ しかし岳人はアウトドア業界では"サバイバルマスター"として知られているサバイバルの専門家だった。 　ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンからビタミンを摂取し……なんとか生き延びようと創意工夫しながら救助を待ち続ける岳人と美岬。 しかし、そんな二人の努力を嘲笑うかのように次々に襲いかかる試練。……そして、台風の接近により、次第に荒れ始める海。 　大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め…… 【第一部・沈没漂流編完結】 【第二部・箱庭スローライフ編完結】 【第三部・ノアズアーク編連載中】 　小説家になろうＳＦ(パニック)部門にて連載４周年！ 470万pv達成！ 　日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。 　カクヨムのSF部門においても高評価いただき90万pv達成。最高週間2位、月間3位の実績あり。 　

タクシー運転手の俺は、ある夜とある客を乗せた。 後部座席。赤いワンピース。ずぶ濡れの長髪女。 これはもうベタベタのベタだ。

2021年、クラーケ大陸を横断するランドルト鉄道で未曾有の大惨事が発生した。フェール地方とフンポク地方の県境付近で、走行中の列車の5号車が突如爆発。衝撃により1号車から4号車は谷底へ転落し、6号車から9号車も線路上で横転した。現場に駆け付けた県境警察が目にしたのは、無惨に破壊された車両と多数の犠牲者だった。 特に1号車の乗客は全員即死、2号車から4号車の生存者も極めて少なく、救助活動は困難を極めた。一方で、爆発の痕跡や破壊の規模から、単なる事故ではなく明確な意図を持った爆破事件であることが明らかになる。事件の背後に誰がいるのか、なぜランドルト鉄道が標的となったのかは依然として謎に包まれていた。 本作は、この「ランドルト鉄道爆破事件」を中心に、現場を目撃した警察・生存者・そして事件を仕組んだ犯人の視点が交錯しながら、次第に真相へと迫っていく群像劇である。

「うぇーい！」「フゥー！」「アーイ！」 　……ほんとに『うぇーい』って言うんだな。 　おれは思わず笑いそうになった。夕方の電車。座席に腰を下ろして少し経った頃、優先席のほうからやけに賑やかな声が響いてきた。 「ぎゃははは！」 　目をやると、そこには黒ずくめの若者が三人。酒瓶を掲げて大声で笑い、足を投げ出し、まるで世界を支配しているかのような態度だ。 　ああいうのが闇バイトとやらに手を出すんだろうな。関わらないに越したことはない。周りの乗客も引いているようだ。眉をひそめ、顔を背けている。何人かは咳払いをして、別の車両へ移っていった。……ん？

　罪悪感はあるが、それはそれとして殺人を止められない男がいた。男は今日も見知らぬ一家を惨殺し、犯した罪を悔いながらトボトボと家路を辿る。 　働き過ぎで上司に厳重注意を受けた女がいた。みんなが帰らないから帰りにくくて働いていただけなのに、怒られるのは女だけ。 　ある日、そんなふたりは、まちなかの小さな喫茶店、”カフェ・まんいんでんしゃ”で偶然の出会いを果たす。 　「社会は生きにくい？」 　怪しい店主に誘われ、ふたりは逃れられない苦しみからの解放を求め、カフェの２階へと消えていく。 　社会不適合とはなにか？ありのままは罪なのか？ 　彼らはただ、どれだけ多くの人間に囲まれていようと一貫して孤独な、満員電車の乗客に過ぎないのではないだろうか。

深夜の地下鉄最終電車に乗り合わせた7人の乗客。突然の停電と電車の停止、そして謎の放送。実は国際テロ組織による生物化学テロ計画に巻き込まれていた。警察官と政府職員、そして看護師の医療知識を駆使し、テロリストの心理的弱点を突いて脱出を図る。絶体絶命の状況で見せる人間の連帯と知恵の物語。

「これ……見ろよ……」 　終電の車内。夜も更け、乗客はまばら。車内は蛍光灯の白い光にぼんやりと照らされている。窓の外は真っ黒に塗りつぶされ、たまに街灯の明かりが虫のように飛び込んでは、すぐに消えていく。 「これ、見ろって……」 　窓ガラスは風景を映さず、ただ黒い鏡となって、おれのぼやけた顔を浮かび上がらせている。その虚ろな窓を、おれは何とはなしに見つめていた。 「なあ、見ろよ……」 　……いや、おれに言っているのか？　さっきから隣に座る男が、低くぶつぶつと何かを呟いているのは気づいていたが、独り言だと思って気にしないようにしていた。

地球で家庭教師をしていた加賀育人（かが いくと）は、海外旅行の飛行機内で時空の歪みに遭遇し、異世界へと巻き込まれてしまう。 異世界の神は、飛行機に乗っていた乗客たちを救い、地球での人生経験や行いに応じて、それぞれに異なる待遇を与えた。育人は、自身の魂に合ったスキルを授かり、見知らぬ森の中へと放り出される。 地球とは全く異なるこの異世界で、育人は与えられたスキルをどう使い、生き延びていくのか？ そして、地球に残された彼の教え子たちは、一体どうなってしまうのだろうか？

女と汽車に惑わされるバカ犬の話 バカ犬は汽車に惑わされる、乗客にも女にも果たして何が真実なのか。 駄文ですが読んでいただけるとうれしいです。

寝坊して慌ただしく通勤電車に飛び乗った私は、周囲の乗客が自分のことを見ていることに気が付いた

IT企業で働く28歳のサラリーマン・田中大介は、毎日深夜まで残業し終電で帰宅する日々を送っている。ある夜、いつものように終電に乗り桜台駅で降りた時、改札機の表示に異変を発見する。「降車人数：2名」と表示されているが、電車から降りたのは自分一人だけのはずだった。 最初は機械の故障だと思っていたが、同じ現象が毎晩繰り返される。田中は車内を詳しく調べ、動画撮影も試みるが、やはり乗客は自分一人しかいない。それでも改札機の表示は変わらない。 不可解な現象の真相を探るため、田中は過去の新聞記事を調査し始める。そして10年前に桜台駅で起きた事故の記事を発見し、見えない同行者の正体に迫っていく。しかし調べを進めるうちに、田中は想像もしなかった衝撃的な真実と向き合うことになる。

　目覚めたのは、300年の眠りの果て──。 　少女ノアが目を覚ました宇宙船には、もはや誰もいなかった。 　AIは告げる。人類は滅亡した、と。 　地球も、家族も、すべてが過去になった。 　孤独に耐える彼女の前に現れたのは、小さな銀髪の少女。 　人間のようで人間ではない彼女に、ノアは（カノン）という名を与える。 　だが、船内には別の“何か”も潜んでいた。 　人類の亡霊か、それとも模造された意志か。 　過去の遺産の中で生きるノアとカノンは、人間とは何かを問いながら、滅びの先にある未来を選び取る。 　これは、“最後の人類”と“人ではない少女”が送る、終わった世界から始まる星の旅の物語

終電の後にやってくるお盆の帰省列車。親切で優しい乗客たちと一緒にあなたが向かう先は……？

タクシー運転手の私が様々な乗客との会話の中で、死と美しさとの関連性を考えていく。若くして亡くなったあるアーティストへの追悼作品。

大雨の夜、営業終わりのタクシーに、一人の女が飛び込んできた。 全身ずぶ濡れで、震えながら「追われてるの、お願い、走って」と繰り返す彼女に、俺は迷いながらも後部座席のドアを開けた。 行き先は、郊外の小さな坂の上にある学校。 この暴風雨の中、そんな場所へ向かう理由は説明されないまま、車は静かに発進した。 アクリル板の向こう、彼女の姿は霧に包まれ、次第に見えなくなっていく。 それでも「もっと速く」と、どこか水中から響くような声だけが聞こえていた。 車内にはいつの間にか湿気が広がり、ミラーは曇り、床には水が染み出していた。 背中に冷たいものが触れた時、俺はようやく「これはただの乗客じゃない」と理解する。 彼女は濡れ続けていた。乗車から何十分経っても、服も髪も乾かず、むしろ車全体を濡らし始めていた。 呼吸すら重くなるような圧迫感の中、たどり着いた坂の上で、彼女はぽつりと呟いた。 「ここなら、もう大丈夫」 振り返ると、後部座席には誰もいなかった。 残されていたのは、水たまりと、窓ガラスに貼りついた長い髪の毛だけ。 その直後、無線から市街地が海水で浸水したという緊急速報が流れた。 ……もし、あの時ドアを開けていなかったら。 今、俺はここにいなかったのかもしれない。 ――乗せた女は、乾くことがなかった。

幽霊が見える。ただそれだけのせいで、子どもの頃から「おかしい」と言われ、精神科に通わされ、孤独を感じてきた――そんな女子高生・のぞみ。高校入学初日、通学途中の駅で彼女は“異常”に呑み込まれる。誰もいない構内、笑う乗客、念仏のような放送。 　その異界でのぞみが出会ったのは、銃を持った女子高生だった。 都市伝説――「制服姿の武装少女」。だがそれは本当に存在した。神祇省という神社や神道、皇室の仕事を統括する筈のただの役所。しかし、その庶務課は非合法でそして年端も行かない少女に実銃を持たせた特殊部隊「神祇省庶務課特殊班」を抱えていた。その都市伝説の正体は霊的災害に対応する実働部隊であった。 　のぞみはその事件をきっかけに、特殊班へ“バイト”として採用される。日常と非日常の狭間で働く、高校生をしつつ銃を持った巫女として。放課後の街を、彼女は今日も“夜回り”する。

目覚めると男は黄泉行きの列車に乗せられていた。そこで男が出会ったのは超常の美しさをもった無表情の女性車掌と明るいバーテンダーらしき青年、そして現世に何かしらの悩みごとや後悔を残してきた数多くの霊たち。しかも列車にはしばしば迷惑な乗客も乗ってくるようで、、、 これは3人が霊たちの悩みごとや後悔を晴らしつつ、人間の純粋さや汚さを覗く物語。