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連載中(全54エピソード)
178,222文字
童話〔その他〕
最終更新日:2025/05/22 15:54
赤ずきんは、布の被せたバスケットの中に、美味しいケーキとワインを入れて、森奥のおばあさんの家へ、お見舞いに行きました。
その道中に出会ったオオカミ、オオカミは赤ずきんへ、隣の花畑を指差しニコリと笑い、甘い言葉を並べ始めた。赤ずきんはその言葉にまんまとかかり、花畑へ寄り道をしてしまいました。
その間にオオカミは先回り。赤ずきんのおばあさんを殺し、その肉を戸棚へ入れ、血は瓶に注ぎました。そして、ノコノコとやって来た赤ずきん。
おばあさんに変装をしたオオカミは、赤ずきんにその血肉を食べさせ、挙句の果てにはベッドを指差し。
「ああ、愛しの赤ずきん。服を脱いで此方に来なさい。暖炉の火をくべたばかりだ、少しばかり寒いだろう」
そう言ったのです。しかし、赤ずきんはその言葉をまんまと信じ、服を脱ぎ、ベッドでオオカミと対面します。
そして、おばあさんの姿を不思議に思った赤ずきん。
「どうしてそんなに口が大きいの?」
「それはね……お前を食べる為だよ!」
その言葉を最後に、赤ずきんは食べられた。胃液で半身は火傷跡の様に爛れ、頭皮は溶かされ髪の毛一本すら生えてこない。そして、胃の中には愛しのおばあさんの姿も無し。
その時に、幼いながらも赤ずきんは悟りました。先程食べた肉とワインの正体に。
……待つのは確実な死、のみである。
赤ずきんは、隠し持っていたペーパーナイフで、自らオオカミの腹を掻っ切った。
女を捨て、醜い身体を噛み締めながら。
「憎いっ……憎い、何も出来ない私が憎いっっ!!お前を殺して、殺して、ぶっ殺して!!私も死ぬっ!」
そんな、純血に血濡れたとある少女の物語。
白色の終焉の森に囲まれて、雪降る大地に産まれ堕ちたは大罪人。何人たりとも、彼らの鎖は阻めない。
何方共々死を望む。……そんなあの出来事が起きてから、もう何年経っただろうか。
これは、そんな彼らの物語。
童話殺しの、はじまりはじまり♪
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この物語は『フィクション』です。作品や登場人物達は、実在する宗教や現実の出来事には一切関係ありません。
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