香月よう子という作者は、澄み切った瞳で読者を見つめる。
彼女の書く恋の甘く切ない詩を読み進むにつれ、その内側にはダイヤモンドのような密度の高い硬質な問いが秘められていたことに気付く。
彼女は読者に問う、「あなたはどこへ行くのですか?」と。
おそらく彼女は自分自身にも問うているのだろう、「私はどこから来てどこへ行くのか」と。それは永遠に問い続ける問いであり、決して答えが見つかることのない問いでもある。
人は一人で生まれ、一人で死んでいく。
人は、問い、問われ、自らの孤独を知り、他の人の孤独も知る。
恋は孤独を知る者どうしが互いの孤独を問い、問われ、さらに孤独を深めあう関係でもあるのかもしれない。だからこそ、真の恋愛は崇高で気高い。
いつの日か、読者はふと思い出すだろう。美しく澄み切った瞳でじっと見つめられ、「あなたはどこへ行くのですか?」と問われたことを。