和風な世界観、ヒトの様々な感情や思考を味わえる作品です！
書籍やアニメ化に出来そうなクオリティ。
魔法でも、忍術でもない、「霊術」という能力を使って京都で舞う禍日主たちに目が離せません。

戦闘シーンは勿論の事、恋愛要素もあります。

文章量は多いですが、読みやすい文章なので一気に読めます。和風なファンタジー好きに是非オススメしたいです。

心が痛いときは、誰しも絶対にあるものだ。
全くない人間などは存在しないだろうし、もしいたとするなら凄く哀れな人間だと私は思う。
心が痛いとき、乗り越える手段は十人十色だ。趣味に打ち込んで見るのもよし、自分のミスを思い返して同じ過ちを繰り返さないようにするのもよし。立ち止まって途方に暮れてもよし。不平不満を親しい人に聞いて貰うのもよし、人間だもの。
それらの行為は決して間違いじゃない。
ただ、それでも人間はいつかは歩き出していかなければいけない。
それが生きるって事だから。
この作品は私にとってのいきるを考えさせてくれた作品だ。
貴方の胸の内にも何か去来するモノがあれば私は嬉しい。

冒頭から、滔々としたモノローグで列挙される、自己の不必要性

具体的な数値がふんだんに盛り込まれた言葉の群れには「これでもか」というくらい容赦がない

そして、ほろ酔い状態で臨む「黒ぶちさん」との対話

さながら、チェックシートに一つ一つレ点を刻んでいくかの如く、自らを袋小路へと追い立てるプロセスを追体験しました

核家族化、晩婚化が遙か昔にデファクトスタンダードとなった時勢、主人公が抱く感覚に読者の多くも後ろめたい親近感を抱くはず

煩雑な日常を言い訳に目を背けている、自分の臓腑を眼前に開帳される醜穢さ

文体としてはむしろ読み易く、「黒ぶちさん」との会話も軽妙なだけに、根底に堆積した生温い諦観がより一層不気味に感じられました

かと言って、後味が悪いわけでもなく
この不可思議な掌編、読まずに見過ごす手はないでしょう

さて、このお話の醍醐味はなんと言っても、『私』のトリックの秀逸さにあると思う。
出だしの不穏な空気。
女の情念の怖さ、何も知らずにその後を生きる関係者たちと、そして私。
最後まで読み終えた時、私の背には冷たい汗が流れ落ちた。
桜の木の下における視点トリックとも言うべき本作は人をゾクリとさせる要素に満ち満ちている。
さして長くもないこの短編小説としての量でだ。
最後まで読み終えた時に襲いかかる怖さ、是非とも味わって頂けるようにお願いする。

　そこの君！お酒片手になろうを彷徨ってる君だ！君に勧めたい小説がある！もちろん、お酒持ってない君にも勧めたい！

　お酒を愛する男、コタローの隣の部屋に突如現れたのはーー凛々しい女騎士ッ！ゴスロリ吸血鬼ッ！妖艶な魔女だッ！

　どうだ最高だろぉ。コタローは、このニッポンに生まれて良かった！的なお酒とオツマミを、この美女たちに振る舞う振る舞う。美女と飲むお酒とか美味しいに決まってるのだ。美女とは言っても、だいぶ個性的な方々だが、そこがいいのだ。そして、そのお酒とおつまみの、美味しそうな描写も必見だ！特に女騎士マリベルの、彦摩呂もビックリな食レポが……わたしは大好きだーー！

　全てのお酒好きなろう民の、夢を叶える小説がここにある。ちなみにわたしはいつも、読んでると知らん間に酒を手に持っている。異世界産の魔法でもかかってるんだろーか……この小説……？

まず、タイトルからして惹かれてしまうッッッ！！！なぜこんなにも『ッ』と『!』が多いのかッッッ！！！刃牙のフォロワーさんなのかッッッ！！！？そうなのかッッッ！！！？と思いつつ読んでみれば、意外や意外ッッッ！！！そういったパロディー的側面もさることながら、一つの『なろう小説』として、凄まじく面白いッッッ！！！

主人公は、超武闘派高校生のワタルッッッ！！！だが、ただの暴力野郎ではないッッッ！！！女の子には優しくッ！悪に対しても思うところがあれば手を差し伸べるッ！心が紳士的なので、まず好感しか抱かないッ！

脇役もサイコーだッ！自らを清純派と言いつつ、素手でドラムセットを破壊するアリアッ！　
料理対決を持ち込んだり、小説のレビュー対決で白黒つけようとする魔王の手下たちッ！ いい意味で頭おかしいッ！

百聞は一見にしかずッ！ぜひ食わず嫌いせずご賞味あれッッ！

味は、この私が保障するッッッ！！！

前の方がレビューでおっしゃっていた通り、この作品は学生向けです。
そのため、とても読みやすく難解な表現も少ないです。
すらすらとジャンクフードのように読めるこの作品は好き嫌いがはっきりと分かれそうですが、おそらく小説家になろうユーザーであれば好むのではないでしょうか。
まだまだ話数は少ないですがこの先の成長が気になる作品です。みなさんもぜひ読んでください

プロ・アマ問わず、色々な作品を読んでいると、ごく稀にではあるが『これは！』という作品に出会うことがある。

それは端的に言えば、引力を放つ物語だ。

つまりは、読者を否応なく物語世界に引き込むだけの、『凄まじいエネルギーを秘めた作品』ということだ。

この物語には、引力がある。

過去にSFを齧った人や、洋画の科白回しを好む人は、まず間違いなく御作の引力に絡め取られ、喜々として次のページを捲る事だろう。

そして驚嘆するのだ。中村尚裕氏が構築する、この分類不能なSFの世界観に。そこで様々な思惑の下に動く登場人物たちに。彼らの一挙手一投足に息を呑み、『え！？』と驚かせられること数知れず。謎が明かされる度にまた謎が生まれ、物語は加速を止めることを放棄する！

さぁ！貴方も『新たなるSFの世界』へ飛び込もう！

きっと、あなたの言語背景を豊かにしてくれること、間違いなしだ！

事故で夫を亡くした妻は、失ってから初めて自分の気持ちに気づく。この世界から消え去りたいと考えた彼女は、行動に移そうとする。しかしそれは、死んだ夫と同じ顔をした男性によって止められる。そして死んだ夫の生き写しのような男性と再び恋をする。それは、奇跡によって得られた二度目の結婚生活のようなもの。
果たして、奇跡は本当に起きたのか、夫婦は幸せになったのか、その判断は読者に委ねられる。

かつて、不器用な男がいた。

惚れた女と結ばれ、夫婦となれたなら。緩やかに年老いていければどれだけ幸せかと願う。
それでも結局そんな幸福は選べなくて、小さな願いが叶うことはなく。

愛しい筈の妹。彼女の兄でありたいと。遠い雨の日、確かにそう願った。
それでも妹を受け入れることができるほど強くはなく、だからと言って自分の弱さを認めることもできず。妹を憎み。鬼に墜ち。


かつて、不器用な男がいた。

父を斬り、母を斬り、妹になっていたかもしれない彼女を傷つけて。
それでも生き方を曲げることはできなかった。


かつて、不器用な男がいた。

選んでしまったが故に、選ばなかった方を自ら斬り捨てた。
選択を間違え続けてきた。
けれど選んだ答えを投げ出したことは一度もなかった。


これは、そんな不器用な男の物語。

だから、どうか。
この文章を読む君に。不器用な男の優しい結末を、知ってほしい。