ただのファンタジーではない。
ただの純文学でもない。
もちろん、ローファンタジーといっても差し支えない。
だが、それも違う。
冒頭は、現実の生々しさが描かれた『絶望』の世界。
やがて、幻惑的な怪物や能力者達に囲まれていく。
主人公の明朝は、その絶望に満ちた禍々しい世界の中で、やがて『希望』の見出す。
『異邦人』をイメージした世界観。社会における異質な存在が、やがて理性と正義に目覚めていく。
更新されてはいないが、ひとつの完結したところまで終わっている。
絶望の中、妄想のような火事の中、希望を抱く主人公。
異形の存在もまた、彼の中の他我だったのだろうか……。
葬式からはじまり、やがて、あらたな命が生まれるストーリー。
生きながらにして死んでいた、明朝が、明確な意思を持ち生誕する。