武器商人にとって、最も頭を悩ませることは何だろうか。武器の調達先? 保管場所? 輸送手段? 取引相手? 自分のビジネスについて知らない家族への優しい嘘?
貴方が現実の武器商人であれば、どれ一つとっても欠けてはいけない要素であろう。どこかで歯車が狂えば、映画「ロード・オブ・ウォー」のようになりかねない。
しかし、すべて心配ご無用。本作の主人公には神から授かった「ブラックマーケット」のスキルがついている。世界の東西問わず横流しされた武器は、さらに異世界へと横流しされる。亜人や獣人を虐げてきた王国の兵士たちを物言わぬ肉塊に変えるべく。
突然、異世界に召喚された中年サラリーマンの主人公には、嘘をつくべき家族も仲間もいない。しかし、それはむしろ利点の一つだろう。銃器は抑圧されてきた亜人を彼の頼れる仲間へと変え、一方で、彼は売られた戦争を丸ごと買い上げていく。
血と硝煙が立ち上る快作。