舞台は裏社会にして稼業は暗殺。
現れるは妖怪、魔法に陰陽術。かと思いきや遺伝子操作。
駆け抜けるは中性的な少年に耽美的な青年たち。
「あの時代」世に送り出されたありとあらゆる名作が、フラッシュバックを引き起こす。
だがごった煮ではない。もちろんパクリなどでもない。
練り込まれた世界観と設定、キャラクターの性格に背景。
前作『ウサギ印の暗殺屋』(完結済。こちらも強くお勧めする)を併せて読めば、巧みな伏線と小気味良い話の展開に痺れすら覚えるだろう。
描写も巧みだ。コメディタッチの日常から、突如スタイリッシュな文体でハードなシーンが紡ぎ出される。
多言に過ぎた。総じて評するならこの言葉が適切だと思う。
官能的な小説、作品群である。