独特の決まり事がある職場で、新商品の企画開発をする様子が、主役となる主人公と先輩、三枚目役ながらも要所を締める上司の3人の間で交わされる、軽やかなやり取りを通して展開します。
主人公の柔らかく楽し気な語りかけで、背景や和気あいあいとした職場の様子が伝わってくるでしょう。周囲の描写がほぼないにもかかわらず、誰と誰がどこでどんなことをしているのかがしっかり読み取れる一方、姿形や職場の調度品などどんな映像を思い描くかは読み手次第。
140字制限で綴られた小ネタごとにオチがあり、その積み重ねによってひとつの大きな物語が完成する構成。結果として、にやりとする場面が次々ときて、飽きることも読み詰まることもないはず。
何が伝わるように、何を書き、どう組み立てるのか。短編を書く際に考えるべき点をも示唆してくれる作品です。
※このレビューは罰金を回避し……あーっ! はい、チャリンしますね。