人間は絶対に死ぬ、それは絶対に避けられない大原則である。
そしてのこされた人は故人を偲び、昔日を思い出す。
それは長い歴史の中で、数え切れないほどに繰り返されてきた情景だ。
そして、この物語は自身の葬儀を見守ることになった主人公の愛する人たちに送る最後の想いだ。
生きているときに注いでくれていた愛情の証明しているかのような遺族の嘆き哀しみは、我々読者の心を打つ。
それを見て悲しみを覚える主人公を見れば、この家族がどれほどまでにお互いを想い愛していたか、ということか実によく理解できる。
人が人を想う、ということはきっとこういう事なのだろうと素直に思う。
静かな、それでいて染み渡るような暖かさを味わわせてくれるのがこの作品だ。
これ以上はもはや語るまい、ぜひご一読の上で、この言葉の意味をご判断いただきたい。