改めて思います。死とはどういうものなのだろうと。
日常からかけ離れているようで、でも、本当は何処までも身近にあって。
いつかは避けようもなく訪れてしまう。
「人生の最期に、望む色を提供する」
それを生業とするのがセロファン師。
無暗に生きろと叫ぶのでもなく、優しく諦めを諭すのでもなく。
ただ、彼は死に立ち会うのです。
その人の、一生を締め括る色を携えて。
死の、その瞬間だからこそ気付かされることがあります。
それは彼、彼女が「生きていた」ということ。
鮮やかなまでの思いが、確かにそこにあったということ。
最期に向き合うということは、翻って生を見つめることなのでしょう。
一話毎に人一人の人生が凝縮されている、そんな印象すら受けます。
美しい文章に誘われて、大切なことに思いを巡らせてくれる作品。
どうか皆様も御一読頂けたら幸いです。