いつからか異世界と交わった世界。いて当たり前ではないが、たまに見かける異世界人やファンタジーな人種と子孫。
現代に見えるが、近未来な時代感。そして直ぐ側には幻想が存在する。
それらが交わる妙な世界の、この小説の舞台はしかし、日本のとあるバーの客たちの会話だけだ。
だが、それが良い。
バーという限られた空間の、客の会話とその顛末。
全ての話はバーの中で始まり。バーの中で終わる。
その先が気になろうと、バーの外で何かが起きていようと、我々読者が聞けるのは、客の会話のみ。
その絶妙なバランス感覚が素晴らしく、妙で不思議で、寂しいようで、なぜか楽しく、そして面白い。
各話に最後まで飽きさせない絶妙な”話”の上手さがあり、次を次をと読まされ、気がつけば唸っている。
もし良ければ、このバーに立ち寄ってみてほしい。
ふと耳を澄ませば、あなたの耳にもどこからかきっと、妙な話が聞こえくるでしょう。