当方は異世界転生と伺いますと、転生後の世界で理由も無く最強の力を手に入れて我が物顔で振る舞うようなストーリーを連想いたします。しかし、本作はそうではないのです。あらすじの通り、本当に無力なニワトリからのスタートです。それでも、機知や偶然を味方につけてそれなりの功を上げ、少しずつですが力をつけていきます。ある意味、昨今の異世界ものに対する皮肉。現実の厳しさを教えるかのよう。
しかし、読んでいて辛くならないためのケアが周到になされているのが本作の凄いところ。テンポの良いギャグや掛け合いのおかげで、深刻さが大きく緩和されているのです。完璧超人には感情移入ができない、かといって主人公があまり辛い目に遭いすぎるのも嫌。そんなかたにはうってつけの1本ではないでしょうか。