高2の3学期に隣の席同士になった主人公と佐藤さんの、在学中と卒業後のお話。
勉強が苦手で、運動音痴。要領が悪く、不器用で、どんくさい彼女を主人公は疎ましく思いながらも、2人の学校生活に接点が生まれました。
世話を焼くと大袈裟なほど感謝され、どこがズレる会話に苛立ちを飲み込む日々の中で、悪い意味で意識せざるを得なかった相手に、主人公はいつしか――。
彼の目を通して描かれる彼女の姿と、彼自身の気持ちの変遷が丁寧に描かれています。
非美少女系ヒロインですが、その残念な行動に通底するマイペースな真摯さは、彼のみならず読者の心にも響くでしょう。
不器用な彼女と素直になれない彼の行方。自身の気持ちをもて余し、心の内で言い訳しながらも変わっていく彼とそれに対する彼女の反応を、時にニヤニヤと、時に息苦しいまでの緊張感で見守りたくなります。
一度読みだすと止まらなくなる良作ですよ。