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作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N0923IQ
短編 |
夢の中で目を覚ますと、私は一匹の野良犬であった。
酒場の脇の小道に備えられたゴミ捨て場、それが私のねぐらだった。木枯らしは大路を我が物顔で走り抜けて行ったが、この狭い小道はあまりに窮屈な様子で入り込めずにいた。陽の光も街中をかんかんと照らしていたが、高い壁に囲まれたこの場所を覗き込む事はできなかった。それでここらの野良犬やドブネズミたちはこの小道に皆住んでいた。
ジャンル:純文学〔文芸〕キーワード: 最終更新日:2024/02/08 17:43 読了時間:約4分(1,882文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N4112IJ
連載中 (全18エピソード) |
記録に残らない歴史。忘れ去られた歴史。誰も知らない歴史。それはもう知り得ない。誰の記憶にも残っていない。それらは何もかもが土となってしまった。神のみぞ知る、そんな歴史。その歴史は表面的な「歴史」と同じだけの濃度を持ち、同じだけの浪漫があり、同じように輝きを放っている。どの出来事も、どの人物も忘れ去られる。未来永劫、私が彼の顔を見ることはない。だが、彼にもあったはずなのだ。熱意が、想いが、感情が。名も知れぬ彼も、まるで羽が生えたように浮足立ち、飛び跳ねるほどに喜んだはずなのだ。火山の岩さえ煮えたぎる火口のようにふつふつと、こめかみに血管を浮かべながら怒ったはずなのだ。心がぐしゃぐしゃに裂かれてしまうように感じ、膝をついて顔中に涙を流しながら哀しんだはずなのだ。自分でも気が付かないうちに笑みがこぼれるような幸せを楽しんだはずなのだ。それは時間という長い巻物の中では目にも見えぬようなほんの僅かな、たった一瞬のことだったのかも知れない。だが確かに、光った。その熱意、その情動。その輝きに私は美しさを見出している。その輝きにこそ人間の、歴史の、宇宙のすばらしさがある。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕キーワード: オリジナル戦記 伝奇 私小説 天災 シリアス 中世 近世 歴史 宗教 彫刻 僧侶 民族 差別 ヒューマンドラマ 最終更新日:2023/10/16 21:00 読了時間:約52分(25,806文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N1903II
完結済 (全6エピソード) |
とある方への追悼の意を込めて書かせていただきました。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕キーワード: 日常 私小説 追悼 父 息子 死 別れ 最終更新日:2023/08/11 21:00 読了時間:約12分(5,982文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 10 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N8756IB
連載中 (全45エピソード) |
エッセイコラム「筆休めのぼやき」です。
小説家・鍋島五尺がゆるりとエッセイを書きます。
日常的なくだらないことから、おもしろい小説を書くためのコツまで。
いろんなことを取り扱ってます。
ぜひお気軽にお立ち寄りください。
ジャンル:エッセイ〔その他〕キーワード: 日常 私小説 ゆったり ほのぼの 小説家 現代 男性 エッセイ 日記 ぼやき つぶやき コツ 書き方 最終更新日:2023/06/25 21:00 読了時間:約87分(43,435文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N5886IB
短編 |
坂を登る。
長く急な坂だ。僕の故郷にはこんな坂はない。生まれ育った町は平たい町だった。街全体で見ても高低差は5mしかないと聞いたことがある。関東平野の小さな町。僕の町。僕の大嫌いな町。
ジャンル:エッセイ〔その他〕キーワード: 日常 私小説 ほのぼの シリアス 男主人公 現代 エッセイ 東北 仙台 坂 故郷 関東 死 哲学 最終更新日:2023/02/14 20:00 読了時間:約9分(4,067文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 18 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 18 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N5823IB
短編 |
俺はずっと傲慢だった。幼い頃から他人に劣ることなど一度もなかった。どんなことでもやってみせ、大人たちを驚かせてみせた。俺にはなぜこんなにも容易なことが他の連中にはできないのか全くわからなかった。俺にとっては些細なことでも周りの人間にとってはそうでないことばかりだった。俺は初め、皆が俺をバカにするためにわざと難しいふりをしているのだとばかり思っていた。他の子供たちは皆白痴のふりをして言葉を話さないのだとばかり思っていた。だがそうだろう。考えてみてほしい。普通の、当たり前のことにさえ全身全霊で取り組んで、しかも達成できずにはあはあ言っているのだ。何かの冗談だと思うのが真っ当だろう。
ジャンル:純文学〔文芸〕キーワード: R15 残酷な描写あり 二次創作 伝奇 時代小説 ミステリー 山月記 中島敦 李徴 虎 シリアス 男主人公 中華 中世 孤独 博学 最終更新日:2023/02/13 20:00 読了時間:約9分(4,253文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 2 pt ブックマーク: 1件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N5742IB
短編 |
君と会うのはいつぶりのことだろう。きっと最後に会ったのは君が出て行った日だ。
あの日からもう3年も経ってしまった。君がいなくなってから僕の毎日は変わった。いや、何も変わってはいないのかもしれない。変わったのはきっと僕だ。君が僕の部屋に来る前はこんな生活だった。一人の部屋。風が吹くだけでガタガタ鳴る窓と狭い布団。僕の手が届く距離に全てがあって、僕だけの国だった。
初めは思っていたほどうまくいかなかった。生まれた場所も、育ってきた環境も何もかもが違う他人だ。当たり前だろう。ぶつかることは何度もあった。人と人はこんなにも分かり合えないんだということに気が付いた。それが例え愛し合う二人だとしても。それでも僕らはお互いを知って、徐々に生活は溶け込んでいった。狭い布団の中、僕らは抱き合って眠った。二人の部屋はこれ以上ないほどに素晴らしかった。あの時は気がついていなかったけれど、それは楽園そのものだった。いろんなものを君と一緒に見て、いろんなものを君と一緒に食べた。おいしいねって笑い合って。いつでも君と一緒に暮らした。なんでも君と分け合った。君といる日々こそが僕の幸せだった。
ジャンル:現実世界〔恋愛〕キーワード: 二次創作 古典恋愛 私小説 シリアス 男主人公 現代 恋愛 別れ バー 歌詞 バーボン カシスソーダ 最終更新日:2023/02/12 20:00 読了時間:約5分(2,481文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N5154IB
短編 |
「先生、砂山のパラドックスってご存知ですか。きっと博識な弁護士先生ですからご存知ですよね。ふふふふ。」
山中は不気味な笑みをガラス越しに浮かべていた。本来私情を挟むのは厳禁だが、私はどうにもこの男を好きになれそうにない。この人を小馬鹿にするような微笑み。虫唾が走る。反省など知らないとでも言いたげに嬉しそうに笑っている。もちろん砂山のパラドックスはよく知っている。高校時代、勉強もそっちのけでその手の問題を調べるのに熱中していた。思考実験とでも言うのだろうか。
私の不快感はきっとわかりやすいくらいに表情に出ていたのだろう。山中は更に口角を上げ、にっこりと笑いながら続けた
ジャンル:推理〔文芸〕キーワード: R15 残酷な描写あり ミステリー シリアス ダーク 男主人公 現代 弁護士 殺人 パラドックス 留置所 自殺 最終更新日:2023/02/11 20:00 読了時間:約12分(5,712文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 6 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 6 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N5054IB
短編 |
私は世界の王、王の中の王であった。この世界全てが私に平伏した。私の権威は輝き、地の果て海の果てまでその轟は響いた。私の名を知らない人間など一人もいなかった。鳥も雲も、星までもが手に届くように思えた。私にできないことなど何もなかった。私が命じただけで風は止み、丘が反り立った。海がせり上がった。私は王であった。
ジャンル:詩〔その他〕キーワード: 二次創作 伝奇 時代小説 シリアス 西洋 中世 近世 歌詞 再解釈 王 革命 洋楽 キリスト教 最終更新日:2023/02/10 20:00 読了時間:約4分(1,789文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N5004IB
短編 |
私は社会不適合者である!!!!!
冒頭から何を言っているのかと思ったみなさん、安心してくれ。かくいう私もたった今そう思ったところだ。というのも、話せば長くなるのだが、たらたらとなんでもないことを書くのがエッセイの本質だと思うので長い話をしよう。
ジャンル:エッセイ〔その他〕キーワード: 日常 私小説 ほのぼの ギャグ 現代 エッセイ 小説家 文筆家 小説 最終更新日:2023/02/09 20:00 読了時間:約9分(4,089文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 20 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 20 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N4866IB
短編 |
母が死んだ。「亡くなってからしばらくは泣いてる暇なんてない」と誰かに言われた時はそんなことはないと思っていたけれど、実際とても忙しかったし、まだ実感が湧かない。最期も看取ったので息を引き取る瞬間も立ち会った。病気が見つかったのはもう2年も前のことだし、覚悟はしていた。でも本当に、まるで実感が湧かないのだ。なんというか、病院に行けばまだあの病室に母がいるような気がしてならない。
仲が悪かったなんてことはない。それどころか他の家庭に比べてかなり親密な方だったと思う。環境がそうさせたと言えばそうかもしれない。母は女手一つで私を育て上げてくれた。大学まで行かせてもらった。自分だったらどこかで挫折しているだろう。それにまるっきり仕事人間だったというわけでもなく、週末にはいつもどこかへ私を連れて行ってくれた。幼い頃は寂しく思う日もあった。家に帰れば母親が迎えてくれる周囲の子達を羨ましく思って、どうして私だけと思っていた時期もあったが、それでも有り余るほどの愛情を注いでくれた。だから母を恨むようなことは全くなかったし、尊敬していた。今でもそうだ。母を心から尊敬している。
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕キーワード: ホームドラマ 現代 手紙 感動 親子 母 娘 育児 出産 成長 回想 記憶 最終更新日:2023/02/08 20:00 読了時間:約13分(6,203文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 0 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 0 人 評価ポイント: 0 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N4692IB
短編 |
奇妙だ。いつからこんなところに穴があったのだろう。
もうこの部屋に引っ越して来てから二週間が経った。突然の辞令で北海道への異動を命じられたときはなぜ俺が左遷されなきゃいけないんだと思ったが、実際のところ単純に人手不足を補うためのものだとすぐにわかった。元々家族どころか恋人もいない身だったので、まあ会社にとっては都合のいい社員だったのだろう。
支店長代理としての仕事も悪くないし、数年後には課長への昇進と本社への華麗なるカムバックが約束されているのだから、それを楽しみにそこそこの仕事をしていれば良いのだ。「切磋琢磨」という面を被った以前の蹴落とし合いと比べれば随分楽というものだろう。出世コースは外れてしまったのかもしれないが別に野望家というわけでもない。安定した収入と地位で程々の人生を送れればそれで満足だ。
ジャンル:ホラー〔文芸〕キーワード: 残酷な描写あり 怪談 ダーク シリアス 男主人公 現代 タイムリープ ホラー 不気味 サラリーマン 銀行員 最終更新日:2023/02/07 20:00 読了時間:約11分(5,210文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 36 pt ブックマーク: 1件 評価人数: 4 人 評価ポイント: 34 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N3773IB
短編 |
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
人を殺すかもしれないという予感はずっと前から確かにあった。こんな混乱の時代なのだから仕方ない。兵役に出ることは僕にとってある種の輝きを持っていたことも間違いじゃない。
級友たち含め、僕ら青年は皆祖国ソビエトのために戦うことを誇りに思っていた。革命の流れに押し出されるようにこの世に生を受け、そして故レーニンの意志を受け継ぐ人民として力強く育った。20歳になった日の朝、もうすぐ僕は兵役に就くことを知った。家族と離れる悲しみはあったが、それでも自分が死ぬわけはないとたかを括っていた。それに、あの忌々しいナチスにとどめを刺してやれることが何より嬉しかった。
ジャンル:純文学〔文芸〕キーワード: 残酷な描写あり 時代小説 男主人公 西洋 戦争 近代 昭和 第二次世界大戦 日ソ戦争 ソビエト侵攻 日本軍 満州 関東軍 ナチス ソビエト連邦 レーニン 最終更新日:2023/02/06 20:00 読了時間:約9分(4,394文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 22 pt ブックマーク: 1件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 20 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N3402IB
短編 |
とある山寺に伝わる話。
ジャンル:純文学〔文芸〕キーワード: 残酷な描写あり 伝奇 シリアス 男主人公 和風 中世 ミステリアス 差別 宗教 仏教 寺 仏像 彫刻 最終更新日:2023/02/05 18:00 読了時間:約12分(5,587文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 30 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 3 人 評価ポイント: 30 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N3397IB
短編 |
「私は私を愛していた。私は、欠点の入り込む隙もなく、完璧であった。」
ジャンル:ホラー〔文芸〕キーワード: 残酷な描写あり 怪談 シリアス 女主人公 現代 ホラー グロ描写 哲学 美 指 少女 最終更新日:2023/02/04 18:00 読了時間:約7分(3,363文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 10 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N3388IB
短編 |
とある時代、ユーラシアの東。人里離れた山の中に大きな竹林があった。その竹林は、昼でも陽の光がほどんど届かないので薄暗く、それでいて果てしなく広がっているようであった。
その竹林に、一匹の大きな虎が住んでいた。虎は一匹でいるのが好きだった。他の虎の竹林に入ろうとする影があると、それを鋭く睨んで威嚇し、一歩たりとも侵入を許さなかった。
ジャンル:純文学〔文芸〕キーワード: 伝奇 私小説 中世 シリアス 動物 愛 アジア 虎 猫 毛玉 別れ 成長 最終更新日:2023/02/03 17:33 読了時間:約10分(4,593文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 10 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 1 人 評価ポイント: 10 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N9600HW
短編 |
エッセイ。
鬱屈とした感情を抱えた私が生きていくための発見をする。
ジャンル:エッセイ〔その他〕キーワード: 日常 私小説 最終更新日:2022/10/19 20:50 読了時間:約7分(3,332文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 1件 総合ポイント: 106 pt ブックマーク: 4件 評価人数: 10 人 評価ポイント: 98 pt |
作者:鍋島五尺/作品情報/Nコード:N6120GQ
短編 |
過去を振り返ってのエッセイ
ジャンル:エッセイ〔その他〕キーワード: 日常 私小説 最終更新日:2020/12/06 16:12 読了時間:約5分(2,493文字) 週別ユニークユーザ: 100未満 レビュー数: 0件 総合ポイント: 20 pt ブックマーク: 0件 評価人数: 2 人 評価ポイント: 20 pt |
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