「物語の導入部は走っている場面や衝撃的な事件から始めよ!」よく入門書などに書かれてる言葉ですが、はたしてそれが全てでしょうか? 確かに王道ではありますがそういった“マニュアル小説”は数を読み進めるとむしろマンネリであり食傷気味にも感じます。
派手な展開こそないけれど微妙な心の揺れを少年たちの成長に乗せ、時にコミカルに、また時には切なく、まるでファンタジー版の『スタンド・バイ・ミー』のように突いてくる本作。私は更新ごと読んでおりましたが、毎回読了後に『あれ?』という不思議な『戻ってきた感』を覚えました。これは作中の『魔法』の立ち位置が絶妙なんだなと。
パソコンやスマホを開けば魔法のように小説が表示されますが当然彼らが書いてるわけでなく、その奥で人間が書いてます。登場人物たちだけでなくそんな作者の姿にまで共感を覚えるようでした。先を急がず、毎晩一話ずつじっくり読んでみるのはいかがでしょう。