最初はそう思った。何を言ってるんだ、と。ひとまず読んでみた。やっぱり何を言ってるんだ、と思った。しかし独特の地の文が頭に心地よく、脳内で講談師が読み上げる声が聞こえる。
その後も様々な語で読者を楽しませる。注目すべきはやはり第一話の「その装い、実にガーリー!」だろう。ここで読者はわかるのだ。この作者にはガーリーファッションの描写なんかしてる暇はない、とにかく本題に入りたいのだ。早く「美脚にストッキングを履くと刀になる」バトルを書きたいのだ。
バトルにあえてねじ込まれる長台詞と相変わらず脳に居座る講談師が判断力を麻痺させていく。美脚にストッキングで刀になるのは当たり前な気がしてくる。もうこうなると逃げ場なしだ。
作者の病気が暴走して書いたかのように見えるが、しっかり手綱を握って操っている。ケレンとサービス精神でしっかり楽しめる。こいつは文章力に地力がないとこれは書けない良作だと言い切れる。