これは成長の物語です。
この作品は確固たる世界観を持っており、基盤となるストーリー、緻密な設定、伏線の張り方が絶妙です。
特に秀逸なところは、登場人物の誰もが確固たる自分を持っていて、みながみな自分のために動いているところです。
一見無償の助けに見える行動も、相手がどのような人物であるかが見えてくるにつれてその人なりの利益であったり感謝があることがわかります。自分を殺して主に仕える者たちもまた、自分の主に理想を抱き、相応しい振る舞いを求めます。
主人公は物語が進むにつれて立場を変えていきます。
異世界の知識を持ち、複数の常識を持つ主人公はどの社会にとっても異分子で、主人公の提案は常に周りを大きく動かしていくことになります。それに対応していくことで、周りもまた成長し、変化してゆきます。
新しい伏線が見えるたび、何度も読み返したくなること請け合いです。