「オオカミの花嫁」の拝読を始めた時、
冬の童話であることから、
作者様が以前書かれた童話
「白い双子と白き竜」を思い出しました。
その先入観を良い意味で裏切った、
微かな甘さが漂う、強くて優しいおはなしでした。
冬の姫は自分が司る冬の季節が嫌いでした。
自らを傷つけるような行為の果てに、
一頭の狼と出会います。
自分を食べて欲しいと、
自虐的な願いを申し出る姫に対し、
狼は実にクールで、かつ大人な対応を返すのでした。
この狼のキャラクターが男前であり、
相手は狼であるにも関わらず
「なんてイケメンなんだろう」
と、惚れそうになりました。
(本当にかっこよい!)
清涼感のある文面がたたみかけるように紡ぐものがたり。
作者様の持ち味である凛とした表現が、
強くて美しく、優しい冬の童話にぴったりでした。
冬の姫の成長を感じられるラストは
ほのぼの嬉しく、幸せな読後感に浸れます。