三日前、あなたは何をしていただろうか。そう聞かれてさらりと答えられる人はどれくらいいるだろう。まず今日の日付と曜日に戸惑い、指折り数えていくなかでふと気づきはしないだろうか。その日の記憶が不自然なほど空白であることに。
なるほどスマホやスケジュール帳を開いてみれば、確認も可能かもしれない。いっそ手っ取り早く、誰かに尋ねてみるのもいい。けれどそこでもしあなたが、この世界の不条理な真実に気づいてしまったとして、果たして耐えることはできるだろうか。
連綿と続いていたはずの世界はあやふやで、実は立っているのさえやっとなのだとしたら。己の手では止めるすべのない真実を知るよりも、いっそ何も気づかぬまま存在が消えてしまう方が幸せなのではあるまいか。空白は埋められず、胸に残る焦燥と違和感は誰にも共有されないまま、あなたを蝕んでゆく。
さあもう一度あなたに問おう。三日前、あなたは何をしていただろうか。