約束を守れないことは罪だろうか。
大切なものが増えることは悪だろうか。
あなたが大切だという、その心は出会った頃のままなのに。
すべてをあきらめ、ただ沈黙を守る冬の王女。彼女には付き従う侍女の一人もいない。
めぐる季節の中、ただ冬の間だけ人並みに過ごせるという捨てられた小さな子ども。彼女は、「いらない」と言われることを何よりも恐れている。
二人は、氷に守られた静かな世界で約束を交わすのだ。子どもが十六の年になったならば、王女に侍女として仕えると。
子どもは少しずつ大きくなる。できなかったことができるようになり、子どもの世界はどんどん広がっていく。少しずつ増える彼女の世界を彩る人間たち。それを見守る王女の心は複雑だ。一面の白い世界で、王女はただ声もなく待つことしかできない。
果たして二人の約束は守られるのだろうか。大切なことを学んだ王女と少女の行く末を、どうぞあなたも確かめてほしい。